BMWBIKES WEB COLUMN
Text:Nobuki sakurai
(BMWBIKES編集長)
Photo:Atsushi Sekino
BMWBIKES
WEB COLUMN
世界中のモータリゼーションがエンジンから電動へ向かいつつある中で、バイクもその一途を辿っている。
BMWでは4輪を含めると約50年以上も前からEVの研究が始まり、2017年には世界中の大手自動車メーカーの中では唯一実用的な電動モデルとして、Cevolutionをデビューさせた。
また昨年秋に発表したプロトタイプ「Definition CE 04」は、まだ開発段階ではあるものの、Cevolutionよりもさらに気軽で誰もが扱いやすそうな電動スクーターに仕上がっている模様だ。
こういった動きは今後ますます活発になっていくに違いない。
昨年秋のデジタルイベント「NEXTGen 2020」で発表されたDefinition CE 04。ステップボード下に配置されたフラットなバッテリーを始め全体的に直線的で実用性の高そうなデザインが特徴。
それと同時に4輪の世界ですでに実用化されつつあるのが、自動運転技術の実用化だ。車体の周囲にセンサーやカメラを設け、他車との距離を測ることで追従したり危険を回避するといった機能が一般的だ。
こうした自動運転の技術は、まだまだバイクへの機能としては未発達なカテゴリーであるが、先ごろ発売され間もなく日本へ導入されるR1250RTには、2輪車では世界初の追従式クルーズコントロール「アダプティブクルーズコントロール(ACC)」がオプションで設定されている。
これはフロントノーズにボッシュ製センサーを搭載し、車間距離調整ボタンで前車との距離を3段階から選択できるというものだ。
これをうまく使えば高速道路での長距離移動はかなり楽になりそうである。
フロントのセンサーで前車との距離を測り、速度調整をアシストしてくれるアダプティブクルーズコントロール。
通常のクルーズコントロールとは別のセットボタンがハンドルの左スイッチボックスに配備される。距離は3段階で設定可能だ。
同時に、この新型RTはメーターに10.25インチというこれまでの6.5インチから大幅に拡大されたディスプレイを搭載している。
ここには車両情報やスマホとのコネクトなど、かなり多くの情報が表示されるが、今回、本国仕様で一番の目玉となっているのはナビゲーションシステムの表示だ。
現段階では日本のマップシステムとの整合性が取れていないため、日本におけるRTのメーター内部ナビゲーションは使えないというのが残念なことではあるが、今後使えるようになる日が来るのを待つしかない。
その一方で、現在の日本でもっとも交通事故に対して抑制を可能とするのがドライブレコーダーの存在だろう。ドライブレコーダーの映像によって、事故の過失割合が大きく有利に働く事例もかなり出始めている。
現在バイク用のドライブレコーダーは安い中華製の物も含めれば10種以上が市場に出回っているが、信頼できるものとなると限られてくる。
そんな中でも、すでに多くの実績やデータを持ち、数多くのライダーに支持されているのがミツバサンコーワのドライブレコーダーだ。
ミツバサンコーワのEDR21G。前後2カメラで、カメラ部IP66/67 本体IP55の高い対防塵、防水、振動機能。対角162度という広い視野を200万画素のフルHDに常時記録。トンネルなどの明暗にも強く、そのうえでGPSによる場所の特定も可能なのが魅力。価格◎34800円(税抜)
EDR21Gの実際の動画。非常に鮮明で車のナンバーや場合によってはドライバーの表情まで確認できる。近年問題になっている「あおり運転」にはとくに効果を発揮する。
※実際の動画ではナンバープレートの番号は視認できます。
筆者は以前にこのドライブレコーダーを装着した車両にしばらく乗った経験があるが、なにより便利だったのは専用のスマホアプリとのコネクトで、現場での再生が簡単で、また事故などの衝撃が加わった際は、動画が別フォルダに記録されるので、消失してしまう心配がないことだ。
また200万画素のフルHDという高画質設定も可能なので、ツーリングの記録としてや、SNSへの投稿でも鮮明な動画を出しやすい。
さらにGPS付きのモデルであれば、現場での速度や場所、日時も記録されるので有事の際に何かと便利だ。
スクーターながらGTの名を持つ快適さとスポーティさを兼ね備えたビッグスクーター。電動スクリーンに加え、シートヒーター、グリップヒーターなどRTに迫る快適装備を持つ。価格◎159万円(税込)
そこでふと思い出したのがBMWMotorradのスクーターC650GTに装備されているSVA(サイドビューアシスト)の存在だ。
これは25〜80km/hの車速で、走行中に他の車両との距離が5m以内になり、かつ速度差が10km/hの場合に作動するシステムだ。
死角に車両が入り込むと、前後に装備されたセンサーが感知してミラーの下にあるコーションランプが点灯するのだ。
他の車両が死角に入りつつ近寄ってくると、このミラーの下にあるコーションランプが点灯し、存在を教えてくれる。
つまり、このC650GTにミツバサンコーワのドライブレコーダーを装着することで、死角の車の存在に加え、有事の際には速度、場所、日時が記録されるので、かなりトラブルに対してアドバンテージが取れるのではないだろうか、ということだ。
実際にミツバサンコーワのドライブレコーダーを装着したC650GTに乗り、市街地を走ってみたところ、かなりの安心感を覚えることとなった。こういった心の余裕はローサービスしかり、任意保険しかりといったところだが、今後はそれにドライブレコーダーの常用化を含める必要があるだろう。
なお、ミツバサンコーワではドライブレコーダー普及の一端として、現行製品、ソフトウエアのグレードアップなどを2021年の夏に投入予定している。
ミツバサンコーワ リリース
https://www.mskw.co.jp/news/20210305_01
現在の日本の2輪車両における自動運転の開発やナビゲーションシステムの追従が遅れていることはやや残念であるが、そこに不平不満を抱くよりも、今ある技術やシステム、サービスで自分の身を守ることこそが、日々複雑化する日本の交通社会を生き抜いていく策ではないだろうか。