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人生を駆ける。旧車と生きる。 Vol.2

39th BOXER RALLYE

Text / 望月リョウ Photo /平島 格

BMWBIKES vol.102掲載記事

往年の名車が集う伝統のラリー

ミュンヘナーやベルリナーと呼ばれる旧モデルの愛好家達が集まるイベント、それがボクサーラリーだ。今年の開催地は静岡県の浜名湖。当日はあいにくの雨模様。果たしてどれほどのバイクが集まったのか。

日時:2023年4月15日~ 16日 開催地:静岡県浜松市 主催:ボクサークラブ/ BOXER SHOP

集う、ということ、、、

漆黒の旧型BMWが集う100周年目の祭典

2輪愛好家によるイベントは日本各地で開催されているが、旧型BMWによるイベントは他のバイクに比べ絶対数が少ない。今年で39回目を迎え、2023年4月に浜名湖・時わすれ 開華亭で開催されたBOXER RALLYは、日本において数少ない大規模なBMWオーナーのイベントである。

当日は「集う」を合言葉に数多くの車両が顔をそろえた。BMWが2輪の生産を開始してちょうど100周年の特別な年に、悪天候であるのが非常に残念である。

主催者の神宮寺氏は愛知県で60年代のBMW-Rシリーズを強みとするBOXER SHOPの代表で、「ボクサーの神」と呼ばれる重鎮。60年代BMW-Rシリーズでは全国のディーラーからの問い合わせも多く、絶大なる信頼を得ている。また日本サイドカー連盟(JSC)の会長でJSC全国ミーティング( 月開催)も精力的に活動している。

愛車は愛知のシングルナンバー付き「愛」のR51/3 で、他のBMWも所有。車両と同時期のシングルナンバーは長年所有していることの証で、旧車乗りの憧れだ。まさしく「愛」が詰まったR51/3なのだ。

雨だろうがなんだろうがこの日のために。

駆けぬける歓びに 重点をおく旧型BMW 

イベントに参加するため、日本各地の旧型BMWが浜名湖畔に向けて移動を開始する。それはRALLYという名が示す通りだ。筆者が高速道路で会場に向かう途中に、イベントに向かうBMWのグループに遭遇した。普段は見る機会がない貴重な体験だ。悪天候下でも抜群の安定性を誇るフラットツインは、エンジンレイアウトが現代のBMWに比べ低く、その恩恵を受けているのであろう。また、決して速くはないが耐久性に優れ、振動が少ない事で疲れが軽減される。長距離バイクとして最良の相棒である。旧型BMWが疾走するグループはまさに“バイエルンの黒い疾風”だ。旧型BMWオーナーは天候に関係なく“駆けぬける歓び”を知っているのだろう。決して他の 輪にはない旧型BMWの特権でもある。

多い時は100台近くの旧型BMWが集まるこのイベントだが、今年は悪天候のため約40台ほどとなった。

愛車の調子、仲間との再開。 それは、人生そのもの。

モーターサイクルとは人生そのものである

悪天候ながら実に多彩な旧型BMWが会場に揃う。日本国内ではなかなか見られない希少な車両も多く、ミュージアムに並べられても良いような車両ばかりだ。雫を弾く漆黒の塊はオーナーの手入れの結果であり、バイクへの愛着と誇りを感じさせる。

緑色のドイツ警察仕様をはじめHoseke製ビッグタンクや丸みが特徴の通称“アリンコバッグ”など見る者を飽きさせない。特に未再生車と思われる錆ついた白の車両は、長い時を経てつくられたヴィンテージの賜物で、製作者に対する敬意すら感じる。反対にオリジナルにとらわれずに現代的な水準に合わせたカスタムの魅力にも改めて気付かされた。

バイクの運転は健康にも良いと医学的に実証されている。カスタムや運転などにより、技術的なスキル・知識を養い脳に刺激を与え、またツーリングやイベントを通じ、ストレスの軽減やコミュニケーションの向上など、バイクを通じ人生を豊かにする事が出来る。

参加者の振る舞いは、ババリア人の様に陽気だ。今回のイベントを通じ筆者が感じたことである。

BOXER SHOP代表

神宮司 圀詔

BOXER RALLYの主催者で、BOXER S HOPの代表でもある。60年代のBMW-R シリーズを主にレストア・カスタムを得意 と し ボ ク サ ー の 神 と 呼 ば れ る 。若 き 時 代 に2人の師匠モリワキ氏・ヨシムラ氏との 出会いによりメカニックとしてノウハウを 得 る 。 ま た サ イ ド カ ー 業 界 に も 精 通 し 、日 本サイドカー連盟の会長である。

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