BMWBIKES vol.96 掲載記事
Text / Nobuki Sakurai
Photo / Atsushi Sekino
BMWBIKES
NEWMODEL IMPRESSION
国内試乗レポート
前項までの河野氏の試乗記事「R18B①~③」はは9月に本場ドイツで行なわれたものだ。天気もいいし、道の様子も素晴らしい。きっと快適で楽しかったに違いない。
そしてその約1カ月後、日本でもR18B/R18トランスコンチネンタル(以下、TC)の試乗会が千葉県で催されることに。しかし試乗当日は、残念なことに朝から激しい雨と風。
R18という巨大なバイクをこんな悪天候の寒い日に走らせて楽しいわけがない。そんな気持ちで試乗会に臨んだ。
巨大なR18TCは車両重量が427kgもある超巨体だ。目前にすると大きなカウルとトップケースで、さらに大きく見える。しかも出発地点は水溜りの多い砂利の駐車場。
その状況からして怖気づくが、恐る恐るクラッチをつないでいくと、そんな状況など意を介さないようにスムーズに車体は駐車場を出た。
うわ、なんだこれ。これだけ大きなカウルとスクリーンがマウントされているのに、ハンドルの切れ方がナチュラルであまり重さを感じないではないか。
高速に乗ると二つ目の驚きが。速度を上げれば上げるほどカウルとディフューザーの効果が上がり、雨粒がライダーを避けて飛んで行く。
そして三つ目の驚きは音響の良さ。イギリスのマーシャル製スピーカーを搭載したということで期待はしていたが、まさかここまでとは。
自宅のスピーカーにも負けず劣らずというほどの音質の良さだ。しかも雨の中でもクリアに聞こえるのだから、それだけで気分が上がる。晴れた日に紅葉の山を眺めながらクラシックをかけたり、夜の街をブルースを流しながら走ったらきっと最高だろう。
筆者は昨年のR18のデビューから幾度となくR18やR18クラシックに乗ってきたが、このR18TCは、その2台ともまったく違う乗り味で、やはりもっと上質な印象。
風きり音やエンジンノイズといった不快な音は覚えず、振動も柔らかく、グリップとシートのヒーターのおかげで冬も快適。タンク容量の拡大と大容量ラゲッジスペースのおかげで、まさに日本中どこへでも、ゆったりと行ける。
K1600シリーズとカテゴリーは被るが、エンジンの鼓動感がぜんぜん違うのでバイクとしてはまったく別物だ。上質で気品がありながらも、ワイルドさやクールさも備えた、ソウルフルなラグジュアリーツアラーに仕上がっている。
エンジン:空油冷2気筒4ストロークボクサーエンジン
内径×行程:107.1×100mm
排気量:1801cc
圧縮比:9.6
最高出力:67kW(92ps)/4750rpm
最大トルク:158N・m/3000rpm
サスペンションストローク:F 120mm/R 120mm
全長×全幅×全高:2560mm×1500mm×970mm
軸間:1720mm
シート高:720mm
キャスター距離(トレール):183.5mm
タイヤ:F 120/70 R19 R 180/65 B16
タンク容量:24ℓ
車両重量:427kg~
価格:403万2000円(税込)~