TOURING

ツーリング

太陽を追え、北西の海へ②

BMWBIKES vol.96 掲載記事

Text / Nobuki Sakurai
Photo / Atsushi Sekino

GSと もっと、ずっと、どこまでも
-第3章-

WITH HARLEY&BMWBIKES
合同企画
SSTR 2021 参戦記

Sunrise Sunset Touring Rally

太陽を追え、北西の海へ

高速道路、ワインディング、ダート
アドベンチャーバイクを
存分に味わう道程

媒体の枠をこえた
HD専門誌とのコラボ

 ただエントリーして走るのではなく、2輪業界では有名なフリーライターであり、ハーレーダビッドソン専門誌「WITH HARLEY」の青木タカオ編集長と合同でこのSSTRに行こうと話がまとまった。

 おまけに青木編集長の乗るバイクは、昨今話題のハーレーダビッドソン・パンアメリカというではないか。もちろん僕は自分のR1250GSに乗る。つまりBMWの専門誌とハーレーの専門誌の編集長が、それぞれのメーカーのアドベンチャーモデルを走らせながら千里浜を目指すのだ。

 枠組みを超えたコラボレーションと太陽を追う日本縦断、そこに元祖と新星のアドベンチャーという豪華なお膳が据えられた。

パンアメリカはGSから乗り換えても違和感なく快適。DOHC4バルブの水冷Vツインエンジンは従来のハーレーとはまったく違い新鮮だ。
千葉市川~石川千里浜は約530kmほどなので1回給油すれば足りる計算。ちなみにパンアメリカのタンク容量は21.2ℓで、GSは20ℓだ。燃費は18ℓ/km~20ℓ/kmほど。
松本インターを降りたのが10時30分ごろで、少し時間に余裕があったので、道の駅「風穴の里」でランチタイム。そばがうまかった。

 出発は秋も深まる10月某日。まだ暗いうちから千葉県市川市の小さな漁港で青木編集長と待ち合わせた。初めてまじまじと見るパンアメリカは、GSとはまったく違う骨の太そうなマッシブデザイン。

 東の空がしだいに明るくなり始め、やがて揺らめきながら朝陽が顔を出した。水平線から出てくる太陽を眺めていると「太陽ってこんなに早く動いているんだな」なんて改めて思う。

 しかも季節は10月、日中に太陽が出ている時間は夏に比べればかなり短い。これはちょっと急がなきゃ、ということでスタート地点をスマホで登録して僕と青木さんはそれぞれのアドベンチャーに跨り太平洋をスタートした。

集合は千葉県市川市の小さな漁港。青木編集長とはかれこれ7、8年ほど、僕が編集長になる前からのお付き合いだ。ハーレー雑誌の編集長なのにモトクロスもガンガン走るなど、幅広い才能の持ち主。
高速道路に乗ってしまえば2台はまさに水を得た魚。快晴の中央自動車道で山梨をあっという間に越えて長野の松本インターを降りた。

しかし一度走り出してしまえば、そこは快適な旅性能を持つGSとパンアメ。中央道で一気に松本まで移動し、安房トンネルで北アルプスを越えると奥飛騨温泉郷の山々は紅葉真っ盛り。

 道の駅「スカイドーム神岡」で休憩したら、富山はもうすぐそこだ。本当は富山でキトキトの鮨でも食べたかったが、さすがにそんな余裕はない。北陸道からのと里山海道に入ると西日に輝く日本海が見えてきた。

 16時20分、僕らは無事、日没前に千里浜へとたどり着いた。穏やかな潮騒と淡い西日に包まれながら2台のマシンが砂浜を行く。さながら俺たちのビクトリーランだ。

道中で必須のチェックポイントはいくつかあるが、僕らは東京都府中市の大國魂神社を選択。早朝の人が少ない神社は清々しい空気に包まれていた。
安房トンネルを越え、北アルプスの峰を遠望すると標高2000m付近は紅葉で山が染まっていた。12月に入ると雪と凍結でバイクは厳しいはず。
行程の途中で、ちょっとした林道にも入ってパンアメリカのオフロード性能をテスト。「ダートも乗りやすいね」とダートも得意な青木編集長。
かつては難所と呼ばれていた安房峠をいっきにパスする安房トンネル。このトンネルの前後で気温や天候がいっきに変わることも多い。

話題のアドベンチャー
その乗り味は?

Harley-Davidson
PAN AMERICA 1250 SPECIAL

価格◎268万7000円~

ハーレーダビッドソンが満を持して開発したアドベンチャーモデル。ハーレーらしいマッシブで武骨なデザインに反し、乗り味はマイルドで乗りやすい。電子制御式のセミアクティブサスペンションやシート高の自動調節機構などGSにも負けない電子デバイスを持つ。

「太陽を追え、北西の海へ③」へ続く

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