Text / Nobuki Sakurai
Photo / Atsushi Sekino
GSと もっと、ずっと、どこまでも
-第3章-
Sunrise Sunset Touring Rally
ただエントリーして走るのではなく、2輪業界では有名なフリーライターであり、ハーレーダビッドソン専門誌「WITH HARLEY」の青木タカオ編集長と合同でこのSSTRに行こうと話がまとまった。
おまけに青木編集長の乗るバイクは、昨今話題のハーレーダビッドソン・パンアメリカというではないか。もちろん僕は自分のR1250GSに乗る。つまりBMWの専門誌とハーレーの専門誌の編集長が、それぞれのメーカーのアドベンチャーモデルを走らせながら千里浜を目指すのだ。
枠組みを超えたコラボレーションと太陽を追う日本縦断、そこに元祖と新星のアドベンチャーという豪華なお膳が据えられた。
出発は秋も深まる10月某日。まだ暗いうちから千葉県市川市の小さな漁港で青木編集長と待ち合わせた。初めてまじまじと見るパンアメリカは、GSとはまったく違う骨の太そうなマッシブデザイン。
東の空がしだいに明るくなり始め、やがて揺らめきながら朝陽が顔を出した。水平線から出てくる太陽を眺めていると「太陽ってこんなに早く動いているんだな」なんて改めて思う。
しかも季節は10月、日中に太陽が出ている時間は夏に比べればかなり短い。これはちょっと急がなきゃ、ということでスタート地点をスマホで登録して僕と青木さんはそれぞれのアドベンチャーに跨り太平洋をスタートした。
しかし一度走り出してしまえば、そこは快適な旅性能を持つGSとパンアメ。中央道で一気に松本まで移動し、安房トンネルで北アルプスを越えると奥飛騨温泉郷の山々は紅葉真っ盛り。
道の駅「スカイドーム神岡」で休憩したら、富山はもうすぐそこだ。本当は富山でキトキトの鮨でも食べたかったが、さすがにそんな余裕はない。北陸道からのと里山海道に入ると西日に輝く日本海が見えてきた。
16時20分、僕らは無事、日没前に千里浜へとたどり着いた。穏やかな潮騒と淡い西日に包まれながら2台のマシンが砂浜を行く。さながら俺たちのビクトリーランだ。
Harley-Davidson
PAN AMERICA 1250 SPECIAL
価格◎268万7000円~
「太陽を追え、北西の海へ③」へ続く