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専門家が語る独自機構の魅力

BMWBIKES vol.88 掲載記事

Text & Photo:BMWBIKES編集部

Unique feature for motorcycle
riding Symphony of technologies.

「専門家が語る独自機構の魅力」

BMWには数々の独自機構があるが
日本の専門家はそれを
どう受け止めているのか。
この十数年、ほぼすべての
車両をケアしてきた
テクニカルマネージャーにその意見を伺う。

BMWのオートバイからは
一貫した車両作りを感じる

 BMWに乗ると「長距離ツーリングが楽にこなせる」とか、「なんだか運転がうまくなった気がする」とか、「Uターンが怖くなくなった」などといった話をよく聞く。それは今に始まったことではなく、昔から言われ続けてきたことだ。そこには国産モデルや他の海外メーカーにはない、BMWならではの独自機構がそういったライダーを補佐しているからにほかならない。では、具体的に「何が」我々ライダーを助けてくれているのだろうか。

 そんな素朴な疑問を、BMWジャパンのテクニカルマネージャーである平野さんに聞いてみた。

平野「まず、BMWがいつも念頭においている車両作りは、前後50%の重量配分なんですね。これは車の設計思想でも同じなんです。やはり前後同じ重量や荷重配分じゃないと加速にしても減速にしても変な動きをしてくるんです」

作る側が熟練の乗り手であること。
またユーザーの意見も取り上げる
柔軟な開発姿勢が生きているんです。

「今までいろいろなBMWのオートバイに乗ってきましたが、その50:50の配分がきっちりしているので、どのオートバイに乗っても違和感がないんですよね」

「疲れにくいということの一番の要因として挙げられるのは、アクセルのレスポンスなんです。他社製のレーシーなオートバイで、すごくレスポンスがピーキーなモデルありますよね。その時に、体がついていけず前後に動きます。これがけっこう疲れるんです。それに比べBMWは、人間の感覚と同じ加速をするんです。自分が思うままの加速感、それが一番疲れない原因なんだと思っています。ゆったり行きたいときはゆったり、飛ばしたいときにはそれに応えてくれる。それはどのBMWのオートバイでも同じ感覚なんです」

「最新モデルは電子制御が発達して、どんどん進化していますが、進化させすぎると人間がついていけなくなってしまう。だからあえて人間の感覚に近づけつつも、いっぽうで攻めたい場面ではきちんと応えてくれる、そんな開発志向なんですね」

平野 司

Tsukasa Hirano

BMW MOTORRAD
アフターセールス
テクニカルマネージャー

「テレレバーやデュオレバーはBMW独自の機構ですが、通常のテレスコピック式に比べて圧倒的に剛性感が高いんです。テレスコピック式だとコーナリングでホイールベースが伸縮します。減速で縮んで、加速で伸びて直進安定性が増えるんですが、テレ・デュオの場合はホイールベースがほとんど変わらないんですよ。最初はそこに違和感を覚えるんですが、なにより圧倒的な路面への接地感を与えてくれますので、やがてそれに慣れてしまうんですね。するとテレ・デュオじゃないバイクに乗った時にその接地感が乏しくて不安になるんです。これがUターンなどがうまくなったような気がする要因なのではないでしょうか」

「90年代から始まった電子制御の技術が成熟し始めたのが2004年ぐらいから。その頃に搭載するコンピュータの処理速度が早くなってきたので、急激に進化したんですね。まずはABSから始まり、サスペンション、トラクションコントロール、モード設定など、最初は奇抜とも思えるアイディアがどんどん実用域に達して成熟し、BMWならではの機能になってきたんでしょうね。その開発の根幹は、やはりドイツの開発者達がしっかりとオートバイに乗るライダーであるということなんです。実際に乗り込んでテストを繰り返し答えを見つけ、またイベントなどではユーザーの意見も取り入れ、製品化につなげます」

「おもしろい体験なんですが、例えば歴代のGSにまたがると、ハンドル、ステップ、着座位置などほとんどポジションが同じなんです。あれだけ違う形なのに、そこは一貫している。乗り手の動きをしっかり把握して車両設計がされているんですね」

「そのいっぽうでR nineTシリーズなんかは、すべて電子制御を省き、サスペンションもシンプルなものを採用しています。つまりあえて、より人間の感覚に近い、気軽で素に近いオートバイという位置づけでリリースしているんです。というようにBMWは、いろんなライダーのニーズに合わせて、オートバイを開発しているんですね」