BMWBIKES vol.88 掲載記事
Text & Photo / Tsutomu Matsui
日時 / 2019年9月7日
開催地 / Hakuba 47 ウインタースポーツパーク
HAKUBA HAPPO-ONE、白馬周辺
INTERNATIONAL
GSTROPHY 2020
NEW ZEALAND
この秋、日本を席巻した
ラグビーワールドカップ。
ポスターのコピーを見る度
2年に一度じゃない
一生に一度だ! と心が叫んだ。
インターナショナルGSトロフィーの選考会
にやってくるライダーも
その心境は同じだったはずだ。
奈良での一次選考
そして白馬でのファイナルと
どのような組み立てだったのかも含め
お伝えしようと思う。
2020年2月。7回目を数えるインターナショナルGSトロフィーが、ニュージーランドで開催される。第一回のチュニジア大会から連続参加している日本からも選手を送り出す準備が始まった。応募要件は、GSオーナーであり英語でのコミュニケーションに不自由せず、トロフィー期間を乗り越える体力とライディングスキルがあること。
2016年から選考会のコーディネイターとして関わることになった私にとって2度目の大役で、その仕事は2018年晩秋から始まった。一次選考会の開催地は今年秋にオープン予定の奈良のEDパーク。選考会でのライディングスキルのテストは、20数個ある指定のコンテンツから会場や路面変化状況に合わせ選択。2018年モンゴル大会までGSトロフィーをオーガナイズした団体から、体制が変わるのも新しい点だ。
奈良の会場見取り図から割り出し、想定できるスキルチャレンジを選ぶ。それが実際に現地に当てはまるのかを2月に下見。路面の変化度や雨天時の変移度など、会場側とも相談した。スペースの関係から選考会は午前、午後の2グループに分ける必要があることも早期に決まった。一部、天候により工事に遅れが出たが、6月上旬に試走して確認。本番を迎えた。
短時間の雨により、午前、午後で一部コースの変更もあったが、奈良でトップ10の成績を収めたライダーは9月、白馬でのファイナルに進んだのだった。
2019モトラッドデイズ白馬と併催された選考会ファイナルは、台風15号が洋上から接近するなか行なわれた。現地は台風の余波で気温は上昇し体力面では厳しさも加わった。初日、ブリーフィングを経て会場でスキルテスト2つをこなし、会場前の河川敷を使った「宝探し」にトライ。マップに指示された場所にあるものを持ち帰る、というもの。それはその後に続くGSに乗ってのオリエンテーリングのルート選択でもあった。複数のウェイポイントを巡り、参加者がたどり着いたのは長野オリンピックのアイコン的な八方エリアのジャンプ台だ。
そこでコミュニケーションテストを実施。英語で問われたのは、ジャンプ台を所定の場所から眺めて、確認できるオリンピックマークはいくつあるか、そこまでの階段は何段か、の2点のほか、現場からよく眺め、出題地点から確認地点まで往復し答えを出すというもの。チャンスは3往復15分以内。高い気温、確認地点までの高低差が体力を奪う。その後、八方のスキー場付近で3つめのライディングスキルテストを経て、フィジカルテストへ。会場の通称ヒルクライムゲレンデよりも長く傾斜のきついゲレンデを上り、別のリフト乗り場まで作業道を走るという内容。また、会場に戻ってからもMTBコースを回るランが待っていた。参加者は皆、全力だ。
土曜の最終コンテンツは、ファイナリスト全員でゲレンデをバイクで下り、バンドの演奏で最高潮の会場へトロフィーのアピール。
続く2日目。フィジカルテストの後、残るライディングスキルテストをメイン会場で行ない、その後、コミュニケーションテストを経て全コンテンツを終了した。選出された3名は各項目でバランス良くポイントを稼ぎ、代表の座を手に入れた。
今回を振り返り、私個人的としては語学力、体力、その上でライディングスキルを総合的に問う選考方法を一次選考会から当てはめると同時に、より多くのGS乗りが楽しみながらトロフィーにトライできるようなれば嬉しいという思いだった。GSトロフィーの真意は、GSがもつ最高の旅、最高の出会いの体現だと思うからだ。
左:寺尾義明 Yoshiaki Terao
中央:上田 直 Sunao Ueda
右:君島真一 Shinichi Kimishima