BMWBIKES vol.89 掲載記事
Text / Toyoshi Miyashita
Photo / Akira Kurita
取材協力 / 株式会社江沼チヱン製作所
TEL:052-221-8451
www.enuma.co.jp
BMW Motorradのほとんどがシャフトドライブだ。しかしFシリーズや今回紹介するSシリーズはチェーン駆動。
大気に開放されているパーツなので、定期的にメンテナンスをしなければならない。
さらに一定期間以上使用すると交換を余儀なくされるパーツでもある。高級車であるBMW Motorradですらチェーン交換の時期は必ずやってくる。
そこで提案したいのが純正品ではなくハイグレード品への交換だ。今回テストしたS1000RRは2017年式でノーマルから一回も交換していない車両。
装着されていた純正チェーンはイタリアの著名メーカー「レジーナ」。もちろん高級チェーンとしては有名だが、市販モデルに装着されているグレードは必要最低限の品。それを今回ハイグレード品に交換してみた。
チョイスしたのは江沼チヱン製作所が開発したThreeDチェーン。軽量性に優れ、かつ高精度。同じサイズのチェーンと比べると精密鍛造加工のおかげで外側のプレートで10%の軽量化、内プレートの面取り加工で4.1%軽量化されている。もちろん耐久性も向上。
その強靭性が認められカワサキの最高級モンスターマシンであるH2Rに純正で装着されていることでも有名だ。3色のカラーバリエーションが設定されている。今回はカスタム好きのオーナーの希望もありブラック/ゴールドにした。
交換後まず押し歩きの軽さに違いが出た。とにかくスムーズで軽やか。走り出す前なのにその変化を感じられると思ってもみなかったのでかなり驚いた。
走り出した後に感じたのはノイズが少なくなった点。さらにスロットルをひねると後輪が機敏に反応。加速するのが楽しく自然と笑みが出てしまったほどだ。
おそらくチェーンの軽量化によりパワーロスが少なくなったのもあるが、バネ下の軽量化にもなっているので、サスペンションの動きに違いが出たからだろう。加えてドレスアップ効果も抜群で、とくにチェーン側、斜め後ろからのスタイルは抜群に。オーナーは大満足。
乗るだけではなく、その美しさのおかげで今後のチェーンメンテも捗ることだろう。定期的に変更するチェーンだからこそ、こだわりを持ちたい。
しかも少しの追加金額で高品質製品をチョイスできる。バイクのリフレッシュだけでなく性能や加速セッティングも可能なチューニングパーツ。それがドライブチェーンだ。
サーキットでの極限でのテストはしていないが、公道でも静粛性とダイレクト感を充分感じられることができた。さらに今回はトライしなかったが、一緒にスプロケットの丁数を変更することで、加速型や最高速型など気軽にチューニングできるのもチェーン駆動車の楽しみのひとつだ。
江沼チヱンからはオイル、クリーナーも販売されている。単体販売もされているが、この「EKメン」チェーンメンテナンスセットは、チェーンをしっかり洗浄、注油できる特別な工具「ルブリケーター」が同梱されている(4290円税込)。