Text / BMWBIKES
Photo / Yuuka Nishibe、BMWBIKES
R50/1で行く、こだわりの野宿
1960年式のR50/1で
日本中を旅する男がいる。
そのいで立ちから
所有する道具まで
すべてにこだわりを持った
彼のキャンプに同行させてもらった。
多趣味の自称旧車冒険家。
年越し宗谷岬を始め旧車で日本中を旅している。
愛車は1960BMW R50/1
1962HONDASuperCub c100
1966Lambretta SX200
1997YAMAHA Bronco。
元服飾関係のファッション好き。
インスタグラム:r50_1960
小ぢんまりとした多摩川沿いにある「奥秋テント村」にチェックイン。彼が荷物を解く。まずは自分で仕立てた青とオレンジの綿のタープを張り、その下に英国製リッチフィールドのテントを張る。
エンデュリスタンのバッグからは次々とビンテージのランタンやストーブ、コットなどの道具が出てくる。そのどれもが傷や汚れ、凹みがあるが、磨かれ愛情を注がれているのが分かる。
驚くべきはご自分で縫製したというチェアのシートや足を乗せるオット、コットの張り布など、どれも市販レベルにあるほど完成度が高いということ。元服飾関係にいただけあり、その技術は職人レベルだ。
やがて夕暮れが訪れランタンと焚火台に火が入ると、そこはもう日本ではない、どこか異国情緒に溢れた雰囲気に包まれるのだった。
「キャンプで、こういった古いギアや、自分で作ったものを使うのが僕の喜びなんですよね。キャンプサイトを完成させ、焚火とR50を眺めながら、お気に入りのギアに囲まれている時間が本当に幸せなんです」
チェアはA-LITE社のメイフライチェア。純正のシート生地を外し、グレーのツィード生地を使ってオリジナルを作製。折りたたみいすのシートも同生地で張り替え、オットとして使うと、もう立ち上がれないほどリラックスできる。
ランタンはどちらもイートーマス&ウィリアムズ社のもの。下部のタンクにオイルを入れてウィック(芯)に火を灯す。燃料は灯油かパラフィンオイルだ。カンブリアンランタンとも呼ばれる。
なんでも壊れたらアッセンブリー交換や使い捨ての時代に、こういったシンプルで壊れにくく、たとえ壊れたとしても直せば、また長く使えるものこそ、エコなのではないだろうか。長く使えば愛着も湧くし、壊れやすい部分も把握できるようになる。そういった愛着ある物に囲まれるキャンプの時間は本当に幸せなことである。