2019年に発表されたR18もだんだんと日本で定着し、クラシック、コンチネンタル、Bとバリエーションも増えてきたが、ここにきて突然「ロクテイン」なるカスタムバガーが発表された。果たしてその性能はいかに?
Text / Klaus Nennewitz 翻訳 / 小島 聖美
BMWBIKES vol.103 掲載記事
「機械学は未来の贅沢品になる」と信じるチーフ・デザイナー、エドガー=ハインリッヒ氏の哲学に沿って、R18ロクテインは、持てるだけの機械工学とアナログ技術の全てを費やして作られた素晴らしいモーターサイクルに仕上がっていた。私もまったく同感で、R18ロクテインは、機械技術的に見ても本当に贅を尽くしている作品である。一方、実用的な価値を大幅に高めている部分もあり、ウインドシールドを装着すれば、ちょっとした通勤にも使用範囲を広げることができる。間違いなくビッグなやつであり、R18のファミリーの中でも最高傑作だと言いたい。
フロントフォークの反応性については、まだ少し改善の余地があるかもしれないが、初期のR18ピュアと比べると、格段に良くなっている。だが、トランスコンチネンタルやバガーのように、キャスター角が急な車両ほどスムーズとは言えない。あと、個人的には、もっとアグレッシブなフロントブレーキシステムが欲しかったとも思う。レバーを引き始めの最初の数ミリは、ブレーキディスクへの食いつきがあまり強く感じられないからだ。R18ファミリーのチーフ・エンジニアである、ジョセフ=ミリッチュによれば、このセッティングは意図的に選ばれたものだという。多くのR18ライダーはレーストラックでの経験があるわけではないし、S1000RRのようなキビキビした(レスポンスのよい)システムでは、重いモーターサイクルを簡単にオーバーブレーキさせてしまうからだ。私の個人的な好みはどうあれ、ブレーキレバーをしっかりと握れば、期待通りの制動力を発揮してくれる。というわけで、結論から言うと、ほぼ何の不足もない。もし、あえて何か言うならば、TFT液晶ディスプレイが欲しいというところか……。
R18ロクテインは、このマーケットにおいて間違いなく新たな資産であると言える。強烈な個性、優れた仕上がりとその品質、そして驚異的なトルクのパワートレインを備えたクルーザーだ。さらに、スポーティなライディングを可能にする優れたシャシーを手に入れた、クルーザーの最高傑作である。
ストリームラインが強調されたロクテインは、ゴテゴテのカスタムバガーのようだが、そこはBMWのデザイン。こういったヨーロッパの美しい景色の中においても違和感なく溶け込む設計だ。
容量 | cc/cui 1,802 / 110 |
ボア / ストローク | mm 107.1 / 100 |
出力 | kW / hp 67 / 91 エンジン回転数 rpm 4,750 |
トルク | Nm158(エンジン回転数rpm 3,000) |
形式 | 空冷 / 油冷2気筒4ストロークボクサーエンジン |
圧縮比 / 燃料 | 9.6:1 / 無鉛プレミアム(95-98 RON) |
シリンダー当たりバルブ数 | 4 |
インテーク / アウトレット | mm 41.2 / 35.0 |
スロットルボディ | φ48mm |
エンジン制御 | BMS-O |
触媒コンバータ | EU5排気基準 |
フロント ツインディスク・ブレーキφ300mm | |
リア シングルディスク・ブレーキφ300mm | |
ABS BMW Motorrad インテグラルABS(一部インテグラル) | |
ホイール | ワイヤースポーク・ホイール |
フロント | 3.5 × 21インチ / リア5.5 ×18″ |
タイヤ | フロント 120/70 B 21 / リア180/55 B 18 |
オルタネーター | W600 |
V / Ah | 12/26 メンテナンスフリー |
ヘッドライト | プロジェクションモジュール付きロービームLED |
プロジェクションモジュール付きハイビームLED | |
スターター | kW 1.5 |
動力伝達 | ギアボックス |
クラッチ | 油圧式単板乾式クラッチ |
ギアボックス | 6速リターン |
プライマリレシオ | 1.16 |
変速比 | I 2.438 II 1.696 III1.296 IV 1.065 V0.903 VI 0.784 |
後輪駆動 | ユニバーサルシャフト 変速比3.091 |
全長 | 2,615mm |
ミラー付き幅 | 953mm |
シート高 | 720mm |
DIN非装着時重量 | 374kg |
許容総重量 | 560kg |
燃料タンク容量 | 16ℓ |
フレーム構造 | スチール製ダブルループチューブフレーム |
前輪サスペンション | テレスコピック・フォーク、固定フォーク:49mm |
後輪サスペンション | カンチレバー |
スプリングトラベル(前後) | 120 / 90mm |
ホイールキャスター | 185mm |
ホイールベース | 1,720mm |
ステアリングヘッド角度 | 55.3° |
燃費(WMTC) | 100km / 5.6ℓ |
CO2排気量(WMTC) | 129g / km |
0-100km / h | 5.46s |
最高速度 | 180km / h |