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BMWBIKES NEWMODEL INPRESSION R18 ROCTANE②

〜ドイツ人MCジャーナリスト、クラウス・ネネヴィッツが徹底試乗!〜

2019年に発表されたR18もだんだんと日本で定着し、クラシック、コンチネンタル、Bとバリエーションも増えてきたが、ここにきて突然「ロクテイン」なるカスタムバガーが発表された。果たしてその性能はいかに?

Text / Klaus Nennewitz 翻訳 / 小島 聖美

BMWBIKES vol.103 掲載記事

改良されたエルゴノミクス、上がった最低地上高、筋肉質とも言えるエンジンによって、ロクテインはまるでマッスルバイクのようだ

ハイウエイからワインディングへ圧倒されるほど快適な走り

バイエルン・アルプスに向かうアウトバーンの侵入車線を通過しながら、私の顔はすでに、にやけていたかもしれない。アイドリング・スピードの段階から力強いトルクでエンジンが車体を押し出してくる。4速ギアで加速しながらコーナーを抜けると、その非常識なまでのトルクがマシンの下にある道路を押し出していく。それはまるで、R18ロクテインが地球の自転を支えているかのようだった。ヒールで5速、6速と短くシフトアップするのは、競走馬をより速く走らせるために拍車をかけるような感覚だ。

 新型R18ロクテインは、ハイウェイでも絶対的な威厳を見せつけながら駆け抜けていった。時速75マイル(120㎞/h、ドイツでは速度制限なし)までのスピードなら、風圧の影響はほとんどなく、エンジンの振動も3000rpmまでは本当に心地よい。

追い越しをかける際には、スロットルをクイックにひねると、6速で時速100マイル(160㎞/h)までスピードが上がる。もちろん風圧は増し、振動も少し気になり始めるが、ハイウェイでは、必要に応じて機敏に速度を上げることのできる馬力が非常に気持ち良い。

R18ロクテインは、R18ファミリーでは5代目のメンバーである。もともとのべースモデルがあり、そのモデルにフェアリング、レッグガード、パニア、ステレオを装備したラグジュアリー・ツーリング・バージョンのトランスコンチネンタル。フェアリングを少し減らした同様のバガー。シンプルなウインドシールドとソフトバッグを装備したクラシック。そして今回のロクテインだ。

プレス発表会では、ビッグツインを搭載した他のすべてのモデルにも短時間だが乗る機会があった。ヘビーツーリング・バイクは、人間工学、乗り心地、豪華さ、重量の点でK1600のようなカテゴリーに属する。重量が400㎏を超えるモデルでは、91馬力のエンジンがバイクを動かし続けるのはかなり骨の折れる仕事だ。しかし、再びロクテインに乗り換えるとどうだろう、ほとんどスポーツバイクに飛び乗っているような気分にさえなった。「ロック 」モードに入れると、エンジンはさらに勢いが良くなり、まさに「スポーティ」にカテゴライズされるようなライディングスタイルが可能になる。

バイエルン州南部にあるアウアーベルク山(2024年にヒルクライムレースが開催されるhttps://www.auerberg-klassik.de)へのワインディングロードでは、アップしたという3度の傾斜角が、それ以上もっとアップしているように感じられたほどだった。改良されたエルゴノミクス、より上がった最低地上高、そして筋肉質とも言えるエンジンによって、ロクテインはまるでマッスルバイクのように山を駆け上がった。これは本当にポジティブな驚きだった。R18ロクテインは、1800㏄のボクサーエンジンを搭載した〝スポーツクルーザー〟を探しているライダーにとって、間違いなく最高のパッケージだと言える!

協調的かつ効率的なモデルアップデートというのは実に素晴らしいものだ。ロング・クルージングをするものにとって、地上高が上がったことによる恩恵は大きい。筆者のような身長5・8フィート(176〜177㎝)のライダーは、フロアボードとシリンダーの間に足を突っ込んで伸ばすことができる。これは些細なことではあるが、どこまでも続くハイウェイで膝にかかる負担を少しでも軽減できるのだ。

それにしても1800ccエンジンには驚かされるばかりだ。時速60マイル(100㎞/h)前後のスピードで田舎道を走っている時に、このエンジンのパワーユニットがファイナルギアで非常に広い回転域で推進力を発揮するのを目の当たりにして、損得なく感動してしまった。ヘッドライトに照らされた小さなスピードメーターに目をやると、なんと4速ギアではないか! まだ2つも上のギアが残っている? エンドレスとも思われるこのトルクは、いったいどこまで伸びるのだろう。

今回のR18ロクテインの試乗会は、5月にヨーロッパのジャーナリストのみが招集され、アウトバーンからドイツ南のアルプス周辺で開催された。日本国内ではまだ誰も走ったことがない車両なので、このインプレションは非常に貴重なものなのだ。

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