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BMWBIKES NEWMODEL INPRESSION R18 ROCTANE①

〜ドイツ人MCジャーナリスト、クラウス・ネネヴィッツが徹底試乗!〜

2019年に発表されたR18もだんだんと日本で定着し、クラシック、コンチネンタル、Bとバリエーションも増えてきたが、ここにきて突然「ロクテイン」なるカスタムバガーが発表された。果たしてその性能はいかに?

Text / Klaus Nennewitz 翻訳 / 小島 聖美

BMWBIKES vol.103 掲載記事

怒涛のカスタムスポーツクルーザー

その走りはシリーズ最強!!

大径ホイールにリーンアングルの増大

シート高アップなどルックス以上の快適さ

クルーザーの再来はネガティブを予想させた

BMWには実のところ、過去に一度開拓したものの、不運にも大きな成功を収めることができなかったマシンがある。それがR1200Cだ。しかしその市場に、BMWが再び参入するという極めて大胆な決断を下した。1997年発売のR1200Cは、今日でもあい変わらず多くのファンを魅了し続けており、中古車市場は常に安定している。クラシックな「バロック・エンジェル」(1952年型BMW501の曲線に由来するヨーロッパでの愛称)というわけではないが、所有していた人や現在も乗っている人は、そのトルクフルなパワートレインとハンドリングの良いシャシーを非常に高く評価している。しかし当時はまだこれが受け入れられなかったようで、結果は成功とは言えないものだった。

このバイエルン・クルーザーを再び呼び戻すには、やはりミュンヘンでの一握りの外交術が必要だったのだろう。およそ2年以上にわたって、BMWは世界中のカスタム・ビルダーと協力しながら、あらゆる開発の可能性を試しつくして、史上最大のボクサー・エンジンを搭載したR18のプロトタイプを生み出した。しかし、完成したバイクの写真と、テクニカル・データを手にした時、私の脳裏にはすぐにR1200Cのマイナスイメージが浮かび、そのサクセスストーリーを想像するのはそうそう容易なことではなかった。リーンアングル30度、ローシートという特殊なシートポジション、巨大なシリンダーが要求する狭いニーアングル……忘れもしない2022年の春、私はBMWの誘いに応じて、中南米コスタリカの「グレート・エスケープ」に参加し、R18で4日間、中南米のでこぼこ道を走った。R18は、頑丈なエンジンに、優れた仕上がりとクラシックなスタイルを備えた、素晴らしいショーバイクだ。4日間の出来事は非常に素晴らしい、感動すべき体験だった。だがしかし、過去のモトクロスでダメージを負った私の膝には、R18での数日間のツーリングは、いささか厳しかったことを覚えている。だから、R18ロクテインのプレス発表会の招待状がテーブルに置かれていても、私はなかなか積極的になれなかったし、これは私の本音だが、他の仲間達も私と似たような気分だろうと思ったのだ。それなら……誰も気乗りしないのなら「よし、みんなやらないだろうし、私がやってやるか……」ミュンヘンまでの列車旅の間、私はR18ロクテインのテクニカル・データをよく読みこんでみた。ホイールが大きくなり(ピュアの19/16インチから21/18インチに変更)、地上高が増して、リーンアングルも大きくなっているぞ(30度から33度に変更)! 私の心ににわかに希望が芽生えてきた。バイエルンでの2日間のライドに向け、状況はあきらかに好転していると言っても良かった。さらに、クラシック・モデルからの改良点として、スピードメーターと一体化した新しい丸型LEDヘッドライトと、バガー・スタイルの高剛性パニアが備わっている。人間工学的に改良された点は、最初のアプローチですぐに気づくことができた。ソファのようにシートに腰を下ろす必要がなくなり、シート高は初代R18の26・7インチ(680㎜)から28・3インチ(720㎜)になった。これにより、フロアボードの前のスペースが広くなり、より足が伸ばしやすくなったわけだ。新しいハンドルバーは若干幅が狭くなっているが、逆にライダーに、より近いポジションになっている。

このロクテインの特徴の一つが前後ホイールの大径化により680mmから720mmへシート高が上がったこと。これにより、リーンアングルも増え、ライダーのポジションも楽になったという。

筆者であるクラウス・ネネヴィッツ氏は、ドイツを中心に活躍するモーターサイクルジャーナリスト。かつては、欧州のバイクメーカーでエンジニアとして働いていた経験とモトクロス等の豊富なライディングスキルを活かして、インタビューからインプレまで幅広く寄稿する。

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