IMPRESSION

インプレッション

KAROO4&TOURANCE Next2②

BMWBIKES vol.99 掲載記事

Text / Tsutomu Matsui
Photo / METZELER
問い合わせ / ピレリジャパン(株)
www.metzeler.com/ja-jp/home

松井 勉が海外で徹底テスト

10シーズン目の大幅進化

GSの世界を楽しみ尽くせ
魔法を持つ新世代タイヤ

METZELER
KAROO4&TOURANCE Next2

カルー4、あらゆる道で進化を体感

 ホテルの駐車場に並ぶ世界のアドベンチャーバイクからR1250GSアドベンチャーを選んだ。指定空気圧に合わせた新作カルー4。

 地元、オーストラリアのモトラッドがこのメディアイベントに協力し、テストルートを制作した。彼らはタスマニアを舞台に行なわれるアドベンチャーツアー、GSサファリを開催するなどその役割が適任ゆえに、走るのが楽しみだ。

 走り出して最初の数十メートルでカルー4の発見があった。カルー3よりブロックパターンに起因する低速でのゴロゴロ感が少ない。軽くバイクが走る印象だ。そして駐車場から左折した瞬間、曲がり方が素直なことにも気付く。

 低速域でのカルー3は、リーンこそ軽いものの、そこからフロントの舵角があまり入ってこない。まあ、ブロックタイヤだから……と思っていたが、カルー4はその部分がかなりナチュラルになっている。

 市街地では特にフロントタイヤの接地面がしっかり路面を捉え、確かなグリップ感がある。試乗時、南半球は晩秋。気温は15℃程度。新品ブロックタイヤでいきなり路上に出た不安感がなく、当たり前のように走っている。

 市街地から郊外へと出れば、制限速度は段階的に100km/hまで上がる。対向二車線の道は森に囲まれた丘陵地をゆく。カーブでのリーンアングルは次第に深くなるが、ここでも軽快さとグリップ感がある。ブロックのヨレもない。

 ブレーキを少しだけ残しながら旋回を開始しても、リーンさせたまま脱出加速を与えても、安定感が高く意のまま。嬉しいのは、この速度で走っていてもカルー3よりもパターンノイズがほとんど気にならないこと。

 いよいよダートへと踏み入れた。日本の林道より道幅は1.5倍あるだろうか。長い直線やときおりカマボコ状に中央が盛り上がった部分もある。土を踏み固めたような道で、前夜の雨の影響が残る部分も多い。進むと起伏とカーブが増えた。

 その起伏は縦ブラインドとも言えるもので、その先がまっすぐなのか、どちらに曲がっているのか解らない。それでも先導ライダーは我々を良いペースで引っ張り続ける。こちらもスイッチをいれ、加速、減速、旋回、また加速というリズムを構築する。

 カーブへのアプローチ、ブレーキング時のグリップ、スタビリティーは申し分ない。そこからラインを読み旋回に入る。スタンディングでコントロールしているが、リーンさせたトレッド部分のグリップが頼もしい。

 カーブの先が見えたところでアクセルを開ける。その時のリアはグリップしながらもアウトにスライドし、加速しつつ理想のラインを描くことができる。エンデューロプロモード、トラコン介入度最弱の設定、後輪のABSは作動させたが、電子制御と協調性はペースが上がるほどチューニングが整ってくる印象だ。スゴく楽しい!

 路面状況がそれほど悪くないのか、と思い、小休止したタイミングで濡れた赤土にブーツをこすりつけてみた。滑る! つまりタイヤのグリップ力が高いのだ。こうした硬い土質ばかりか、水分を含む柔らかい土でもその威力を見た。方向維持性、トラクション性ともに進化していて、テールが左右に振れても前進推力が抜けない。

 これまでカルー3がやや苦手としてきた部分がすっかり無くなっている。フロントもスッと横に逃げることもなくしっかりとしたグリップを発揮しているのだ。

結論をまとめると……
・舗装路でのハンドリングが良い
・巡航時のノイズが低い、静か
・ダートでのグリップが向上
・特に泥濘で威力発揮

 メッツラーらしい総合性能を、どこも凹まさずに全体を上げたカルー4。GSの行動範囲をさらに楽しませてくれるタイヤの登場だ。

ダート路で向上したグリップ力、そして前後のグリップバランスはR1250GSADVENTUREの走りを際立たせてくれた。

6軸IMUが計測する車体状況をベースに緻密な制御とモードの組合せで自在感が増えている。これも車体の良さ、タイヤの良さがあってこそ。

森の中を100km/hで進むような舗装路のカーブの連続も楽しみ尽くせる。何より得意科目である高速道路移動でノイズがかなり低くなった。

ゲレンデ/シュトラッセを意味するGSと相性の良さは抜群。

METZELER
KAROO4

カルー3がへの字型のブロックをパドル的に配置したのに対しカルー4のそれはブロック角度を水平にしたデザインとなっている。ブロックの間の溝、サイドに開けた溝により排土性を上げている。舗装路、マッドともに強いのが印象的なタイヤだ。

FRONT
120/70 R 19 TL 60Q M+S
90/90-21 TL 54Q M+S

REAR
170/60 R 17 TL 72Q M+S
150/70 R 18 TL 70Q M+S

「KAROO4&TOURANCE Next2③」へ続く

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