Text / Eri Ito
Photo / Jun Goto、ピレリジャパン、Eri Ito
Special thanks / ピレリジャパン
BMW Motorrad世田谷店
レース経験豊富なライダー2人と
昨年からレース参戦をスタートさせた
ライダー2人という4人で挑んだ
2021年のもて耐。
各々もて耐に向けて準備を進め
2年目のチャレンジに意欲を燃やした。
4人のライダーで7時間を走る決勝レースを
果たして完走できたのか?
最後に私たちが浮かべた表情とは……。
第4ライダーは並河さん。ところが、ここでアクシデントの発生である。ライダー交代の時間になっても並河さんが戻ってこない。「まさか、転倒? それともガス欠?」ピットは緊張に包まれた。
その後ピットイン予定時間から遅れて並河さんが戻ってきた。5コーナー進入でシフトダウンがうまくいかず、アウト側のグラベルに突っ込んでしまったのだとか。
幸い、ハイスピードでの転倒ではなく、並河さんに怪我はなかった。ほっと胸をなでおろす。バイクも右のレバーガードが曲がってサイドカウルが傷ついた程度。すぐに修復されて15分遅れで坪井さんがコースインしていった。
レースではバイクの整備、修復をしてくれるメカニックや、ピットインするバイクを支えたり、給油したりとサポートしてくれるメンバーがいる。滞りなくレースを戦うことができるのは、支えてくれる仲間がいるからこそ。
レース中にふとピットを見回して、「きっともて耐がなかったら、出会っていなかった人もいるんだろうな」なんて思う。年齢も、職業も違う、そんなメンバーが「もて耐完走」のために一丸となって協力し合い、支え合っていた。
スタートから7時間後、ピットウォールに駆け寄って、坪井さんや並河さんとともにチェッカーを受けるゆきさんを迎えた。2020年から始まった挑戦を完遂した瞬間だった。安堵感が一気にこみ上げ、ついつい涙が出てしまった私。あまりにも情けないライダーだったという反省もあるが、なによりもチームメイトがいたから頑張れた。
最後まで何が起こるかわからないのがレースというものである。レース終盤、ゆきさんの走行中に転倒が発生。コース上にバイクが残ったことでフルコースコーションとなり、セーフティカーが導入されたのだ。
セーフティカーはチェッカーまで残り時間10分ほどというところで解除された。本来は私が最後のライダーとして走り切る予定だったのだが、豊富なレース経験を持つゆきさんはセーフティカー中に「ピットインすれば給油が必要。
それはもったいない」と英断。チェッカーを目指し、燃費走行に切り替えた。ゆきさんによれば、セーフティカーが入ったとき、すでに残り走行可能距離がぎりぎりだったのだそうだ。一方、ピットで待つ私たちも「ゆきさんはこのままフィニッシュするつもりだろう」と見守っていた。
16時30分、ゆきさんが駆るG310Rがフィニッシュラインを駆け抜ける。私たちは笑顔で、ピットウォールから手を振る。7時間完走、総合70位。すべてが終わったあと、西日が静かなコースを照らす。その光が目に染みるほど、まぶしかった。