BMWBIKES WEB COLUMN
Text / Eri Ito
Photo / Jun Goto & Eri Ito
「もて耐」というレースをご存知でしょうか。正式名称「もてぎ7時間耐久ロードレース『もて耐』」。「世界最大の草レース」をテーマとして1998年に始まった耐久レースです。
 例年8月下旬、ツインリンクもてぎで行なわれ、4ストローク2気筒以下の115ccから250ccバイクを3人から5人のライダーが交代で走らせ、7時間を戦います。
 プロフェッショナルのレーサーもちらほらと混じってはいるものの、参加者の多くは普段仕事をしながらレースを楽しんでいる「草レーサー」なのです。

 2021年のもて耐は8月21日(土)に公式予選、22日(日)に決勝レースが行なわれます。
 ちなみに、一昨年までは7時間耐久の本戦のほかに予選落ちのチームが参戦する3時間耐久のコンソレーションレースがありましたが、昨年からは事前に3時間耐久へエントリーすることが可能になりました。
 初めてもて耐に挑戦しようというチームにとって、参戦のハードルがより低くなったのです。
 そんなもて耐の2021年大会に、女性ライダーだけで構成されるチーム『BMW BIKES&Frau MS』がBMWのG310Rを駆って参加します。
 メンバーはバイクジャーナリストの小林ゆきさん、長いレース歴を持ち監督を務める坪井千春さんというベテランライダーの二人と、2020年からレース参戦をスタートさせたばかりの並河真奈さん、筆者・伊藤英里というベテラン&ビギナーが入り交じった4名構成です。

 実は、昨年2020年のもて耐にもほぼ同じメンバーで挑んでいました。しかし、昨年は新型コロナウイルス感染症の影響により練習もままならず、さらに決勝レースが7時間から3時間へと短縮されてしまったのです。
 今年こそ7時間の耐久レースを走り切りたい。そうした熱い思いとともに、再び終結したメンバーなのでした。
 2021年のもて耐参戦にあたり、チームで掲げた目標は「笑顔で完走しよう!」「昨年の67位より一つでも上の結果を目指そう!」でした。
 レース経験の浅い二人はもてぎロードレース選手権ネオスタンダードクラス、G310トロフィー参戦を経てレース経験を積み重ね、見守るベテランライダー二人はそんなビギナーを導きながら、燃費戦略を立てるなど、着々ともて耐への準備を進めます。




「果たして7時間のレースを走り切ることができるだろうか?」まだまだレース経験の浅い筆者にとって、そんな不安が胸中にあることは確かです。
 速いライダーだってどっさりいますし、なにより7時間という長丁場のレースを走ったことはありません。
 けれど、そのたびに昨年のチェッカーの光景が脳裏に浮かびます。2020年のもて耐で3時間のレースを走り切り、チェッカーライダーを務めた並河さんがフィニッシュラインを通過した瞬間、健闘を称え合うみんなの目には涙が浮かんでいました。
 そこには言葉に尽くせないほどの達成感と感動がありました。

 仕事も環境もパーソナリティも違うライダーが集まり、レースを走り切るというたった一つの目標に向かって一丸となれる、そんな経験はそうそうできるものではないでしょう。
 もて耐というレースは、大人が大人であることを忘れて夢中になれる魅力をもったスポーツかもしれません。
「BMW BIKES&Frau MS」もて耐挑戦の様子は、11月30日発売の『BMWBIKES Vol.96』に掲載予定です。ぜひチェックしてみてくださいね。
