BMWBIKES vol.94 掲載記事
Text / Marsha Yajima
Photo / Atsushi Sekino
Special Thanks / TOURATECH JAPAN
来年の世界大会はこの4人のうち2人!?
「女性予選会って、3人だけだったの?」この質問を受けたのは2年前。寺尾義明氏、君島真一氏、上田直氏のGSトロフィー日本代表選手が決まった長野県白馬村の最終予選会場でのことでした。
GSトロフィーとは、「世界で一番かっこいいGSライダーはどこの国?」を決める競技で、2008年から2年ごとに世界各国で開催されてきました。
今年はその予選年にあたり、2022年大会の開催地は東欧アルバニアと5月に発表されています。
男性は3名1チームで国旗を背負って本戦へ挑むのに対して、女性は各国の代表2名が国際予選会を開催して最強の女性チームを編成します。そのため本戦出場には、国内予選会と国際予選会を勝ち抜かなければなりません。
その国際予選会に日本は2大会連続で同じ選手が出場しました。水谷あいさんと吉田美恵子さんです。これが冒頭の言葉にもつながるのですが、女性は3名の参加者だったため「次がないかも」というゴシップにさらされ続けてきました。
それが今年、予選会が予定され、今大会の参加者は倍以上になりそうです。これは過去の参加者や多くの関係者の方、何より代表の活躍の賜物と言えるでしょう。
さらに今年からルールが変わり女性も国別対抗になりました。予選会の申し込みは、8月31日まで。7月には「GS体験会」もありそのあとで申し込むことも可能です。
そこで今回は、GSトロフィー出場を目指す女子ライダーの中から4名の方にオフロードの魅力も踏まえてお話を伺うことにしました。
本誌「いきなりですがGSで林道を走るのは怖くないですか?」
水谷「林道によりますよね~。」
ユミ「私そこのふかふかヤダし。」
水谷「でも、みんないるから。」
ユミ「そうそう。あんな泥が続く林道なんて絶対にヤダよね。」
水谷「緩やかなフラットがずっと続いていたら気持ちいいですね。」
廣瀬「ガレとかヌタヌタとか勘弁してほしい。」
水谷「そこは軽量車両で。」
吉田「笑って走りたいよね。」
本誌「すごいですね! オフロードの魅力は何でしょうね?」
廣瀬「オンロードだけだった頃に比べると世界が広がった気がする。」
水谷「単純に道の数が違いますもんね。道じゃない所が道と呼べて行動範囲や選択肢が広がる。」
吉田「景色とかグルメとか温泉への近道とか。その先の楽しみを目指してオフロードを通る感覚かな。」
廣瀬「初めはこんな大きなバイクで未舗装路を走るなんてみんな『どうかしているんじゃないか』と思っていたけど、オンロードが続くと『林道走りたいな~』と思う自分がいて『まさか』という感じ。」
水谷「中毒性がありますよね(笑)」
廣瀬「そうそう。だけど一人ではいけないので練習も林道も誘ってくれる仲間がいてこそだと思う。」
ユミ「周りが面白い人たちばかりで、この人達と一緒に遊びたいという人のつながりですかね。」
本誌「どんな練習を?」
ユミ「休みがあれば太郎さんを連れ出してよく走っています。」
廣瀬「いろんな練習会に混ぜてもらっています。」
水谷「体力がないので短時間のランニングを毎日しています。」
吉田「基本は夫婦で走っていて、最近はジョギングも始めました。」
普二2001年/大型2003年/身長172.4cm
風間深志さん主催のラリーイベントでR1200GS-Aと一緒に走ったことをきっかけにアドベン女子へ転身。道の駅スタンプラリーやコマ図ラリーを楽しみ、キャンプの達人でもあるベテランライダー。
2018年のトロフィーライダーがイケメンぞろいでカッコよくて女性も出場できることを知りチャレンジを決める。
「GSはバイクとしてのポテンシャルはあるからちょっとの勇気で別の世界が広がっている。一人じゃなくてみんなで一緒に行こうっていうのが良いかなって思う」
普二1991年/大型2009年/身長165cm
バイク好きの父の影響で小学生時代にポケバイデビューしバイク漬けの人生を過ごす。
ご主人の影響で2009年にF650GSを購入すると、トムウルフ(スポーツマネージャー)やGSトロフィーの世界に魅了されてのめり込んでいった。
今回も最愛のご主人と二人三脚で挑む。「第1回参加の南アフリカから夢のような時間がずっと続いています。みなさまもパートナーや友達と一緒に怖い思いをせずに、安全に走って楽しんで、参加でなくてもまずは応援からでも参加してください」
普二2000年/大型2015年/身長154cm
水谷あいさんの父、水谷太郎さんの婚約者。2020年8月に関東上陸して太郎さんの影響でオフロードの世界にどっぷりはまる。
バハラリーを目指す太郎さんと目標も合致したことで、毎日二人で筋トレやマラソンなどトレーニングを重ねている。
自主練はもちろん、ツアラテックジャパン店長の高橋氏やGSトロフィーの最終予選会のメンバーなど錚々たるスペシャリスト達と毎日のように走り回っている。
アクセルも心も開けっぷりが爽快。「とにかく一緒に楽しみましょう!」
普二2014年/大型2015年/身長157cm
父、水谷太郎氏の影響で物心ついた時にはバイクに乗っていた。
国際予選会では最年少参加者ながらバランス力を武器に堂々とそのスキルをアピールしてきた。堪能な語学力を生かして世界中に仲間を広げ、父の背中を追う。
「今回からレギュレーションも変わってバイクがなくても出場できるのでチャンスだと思います。どんどん申し込んで『Spirit of GS』の世界観を知ってほしいです。レベルの底上げにも繋がるし絶対楽しいのでぜひみんなでチャレンジしましょう!」
本誌「意気込みをお願いします。」
水谷「今回から国別になったので女子同士で練習して高め合えたらいいなと思います。さらに、本戦出場への思いがどんどん強くなっています。過去にアジア人は本戦に誰も出場していないので、それが日本になったらめちゃくちゃうれしいです。目指すは本戦です。」
ユミ「GSトロフィーがどんな競技かも知らずにただみんなと楽しく遊べればよかったのですが、どんどん楽しくなってきて本戦に行きたいと思うようになりました。本戦に行ければ必然的に日本代表なのでそこを目指そうという気持ちに変わってきました。」
廣瀬「ずいぶん心境が変わったね。」
ユミ「そう。誰にも話してなかったからね。私の今の環境がとても良すぎるのでこの時間と環境と人を生かして、自分が一番になって日本を引っ張っていきたいです。20年以上働いてきたご褒美だと思って、毎日やっていきたいですね。」
廣瀬「すごい、旗を振るジャンヌダルクみたいになってる(笑)」
ユミ「練習用の軽量車両とかで肋骨折っている場合じゃないです。がんばります。」
廣瀬「私はオフに乗ったことがなかったし最初はカッコいいというだけでどうしようかと迷いながらでしたが、せっかくここまできたのでとにかくチャレンジしてみて、楽しめたらいいなと思います。」
吉田「女性は個人戦で味方ではなかったので「チームジャパン」として戦えるのがうれしいです。私なりにGSトロフィーを広める努力をしてきたのでGSに乗る方が増えてうれしいです。長年支え続けてくれている家族や周りの応援と、日本代表選手の経験をプラスに自分を高めて頑張りたいです。本音を言えば、あいちゃんと行きたいですね。」
本誌「2014年GSトロフィー代表の太郎さんから見た今年の女性参加者はいかがですか?」
太郎「今回はいつも以上に練習や個人のトレーニングに励んでいるのをネットで見たり本人から聞いたりしてるので、熱い戦いになるのではと思っております。」
本誌「参加者数が増えましたね。」
太郎「人がたくさんいれば盛り上がりますが、とにかく予選会に出てほしいですね。チャレンジするところがいいんです。人も繋がるし、きっと楽しい思い出になりますから。応援でも楽しいですよ。」
本誌「女性は一人だと不安なことも多いと思いますが。」
太郎「当店には女性のGS乗りがいますので女性ならではの悩みも相談に乗れます。また敷居の低い練習会があるのでぜひどうぞ。」
本誌「そういえばメルマガにはお得な情報が満載ですよね」
太郎「当店は主にアドベンチャーバイクのガードパーツやツーリング用品など一通りの品揃えをしていますが、目指すは楽しいアドベンチャーなバイクライフのお手伝いをすることです。そんなコミュニティをバックアップすることでバイク自体を楽しみ、人の繋がりを作っていけるような場を提供することでより濃密なものにしていきたいと思っております。一緒にGSトロフィーを応援しましょう!」
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