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BMW Motorrad 独自機構の数々

BMWBIKES vol.88 掲載記事

Text & Photo:BMWBIKES編集部

BMW Motorrad A Unique Mecha.

BMW MOTORRADに
装備されている独自機構の数々

BMWのオートバイには非常に多くの
独自機構が採用されている。
とくに2000年代以降
ECUの進化から電子制御が発達し
ブレーキ、サスペンション
トラクションコントロールなど
今では電子制御なしでは
車体が構成できないほど。
その代表的な機構を紹介しよう。

抜群の安定感をフロントに

テレレバー

BMWが誇る独自機構の代表格。フレームにピボット接続しているA型アームがフォークとホイールを支え、中央のスプリングストラットがサスペンションとダンピングを担っている。この構造は、通常のテレスコピックに比べ非常に高い剛性感と路面追従性を生み、安定した制動力も実現。減速時のノーズダイブを大きく減らすためライダーの姿勢変化が少なく、安全面でも優位だ。またGSでオフロード走行する際などにも有効なシステムだ。

採用モデル/R1250GS、GS-A、R1250RT

柔にして剛、そして上質なフィーリング

デュオレバー

テレレバー技術と4輪車のダブルウィッシュボーンサスペンションを融合させたような形状のフロントサスペンション。固定フォークで前輪を支持し、ボールジョイントの入ったアッパーアームとロアアームを介してフレームと接続。フレーム側のサスペンションが伸縮と減衰を担う。テレレバーに比べ、ブレーキング時に若干ノーズダイブする特性で、高い剛性感とスポーティな走りの両方の恩恵を受けることができる。

採用モデル/Kシリーズ

伝統の片持ちスイングアーム

パラレバー

シャフトドライブはBMWが古くから採用する伝統の駆動方式。丈夫で静粛性が高く、パワー伝達のロスがないのが魅力だ。このパラレバーはそんなシャフトドライブの特性であるテールリフト(アクセルを開けるとリヤが持ちあがる)を打ち消すシステムだ。トルクロッドと呼ばれる平行四辺形状のパーツを、フレームとファイナルの間に設置することで現象を打ち消している。2000年代に入ってトルクロッドが上部に設置されより軽量化を果たした。

採用モデル/Rシリーズ、R nineTシリーズ、Kシリーズ

新境地を開いた電子制御式サスペンション

ダイナミックESA

BMWが2004年に開発した電子制御サスペンションで、前後サスペンションのプリロードとダンピングをハンドルのボタン操作により調整が可能。年々進化を続け、今はライディングモード(レイン、ロード、ダイナミック、エンデューロ、エンデューロ・プロ)と連動して自動設定される。2017年式からは車速、加速、減速、バンク角、路面状況に応じてダイナミックESAのみを個別に調整することも可能となっている。

採用モデル/R、K、F、Sの各モデル

今や絶対必需な安全システム

パーシャリー・インテグラルABS

1988年に初めて二輪車用ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)をK100に搭載したBMW。現行のパーシャリー・インテグラルABSは、ブレーキレバーを握った際は前後ブレーキが同時にかかり、ブレーキペダルを踏むと後輪のみ減速させる仕様。ECUと前後のホールセンサーの連結によりブレーキサーボを作動させ、緊急時でも車輪をロックさせることなく、最適な制動力を発揮する。GSの場合は後輪のみ解除することも可能。現在はBMWの全てラインナップにABSを搭載していることから、安全に対する姿勢が強くうかがえる。

採用モデル/K、Rの各モデル

軽いシフトチェンジでライダーを補助

ギアシフト・アシスタントPro

ひとたび走り出してしまえば、クラッチ操作をすることなくシフトチェンジを可能にするシステム。シフトアップの際は、アクセルが開いていても回転数に関係なくスムーズにアップさせることができ、シフトダウンはアクセル全閉で操作すると車体が検知してややブリッピングを合わせてシフトダウンする。そのシフトタッチは軽く柔らかく、通常のクラッチ操作よりも適切なエンジン回転数でチェンジしていくので非常にスムーズだ。

採用モデル/R、F、K、Sの各モデル

空転を抑え最適なグリップを発揮

DTC ダイナミック・トラクション・コントロール

雨天時や未舗装路、濡れた落ち葉の溜まった舗装路など後輪が滑りやすいシーンで効果を発揮するシステム。そういったシーンで後輪が不意の空転を感知すると、ECUが燃料噴射に介入してスロットルバルブを制御、点火を遅らせることで駆動トルクの減少を引き起こす。つまりアクセルを開けても後輪は空転せず適切なグリップを伴って車体を前進させる動きとなる。このDTCは各ライディングモードで設定が変わり、オフロードでは解除することも可能だ。

採用モデル/K、R、Fの各モデル

料金所から坂道まで幅広いシーンで活躍

ヒルスタート・コントロール

停車時にブレーキレバーを強く握ると、ABSからリアブレーキに圧力がかかり、ブレーキレバーを離しても車体がロックされるシステム。坂道発進や、信号、料金所などで一時的にエンジンをかけたまま停まる際、このシステムを使うと車体がロックされるので非常に安定する。解除はギアを入れ、クラッチをリリースするか、再びブレーキレバーを強く握りなおすかで解除される。以前はオプションだったが、現在は標準装備も増えている。

採用モデル/R1250GS、R1250RT、Kシリーズ

※これらの各機構やシステムはその車種のグレードやオプション設定など細分化され、仕様によって異なりますのでご了承ください。

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