BMWBIKES vol.92 掲載記事
Text & Photo / BMWBIKES編集部
来年こそGSで林道へ!!
ステップ別
13項目を学ぶ
「せっかくGSを買ったから、林道も走ってみたい!
でも林道って怖そうで、まずどうしたらいいかわからない」
そんな林道初心者ライダーへ向けてのレッスン企画です。
今回も基本的な内容からスタート!!
○林道を走る前の準備
○少し荒れた登り坂
○再発進を考慮して停める
○登りの長い左コーナー
○大きな水たまりを走るには
○林道でのUターンのコツ etc…
Megumi Sasaki
神奈川県相模原市出身。機械工学を専攻する大学生。16歳で免許取得。G310Rから始め、R1200R、G310GSを乗り、オンオフ問わずツーリングを父親と共に楽しむ。オフロード経験は3、4回目の初心者。ライダー歴4年半。身長162cm。
Hisao Yoshitomo
元国際A級モトクロスライダー。モトクロス以外にもBAJA1000、オーストラリアンサファリ、UAEデザートチャレンジ、ラリーレイドモンゴルなど海外ラリーで上位の成績を収める経験豊富なライダー。現在は愛車のR1200GSLCでツーリングも楽しむ。
林道走行を楽しむには、まずその前の段階からいろいろと準備が必要だ。
これを知っておかないと、林道に入ってから
トラブルに見舞われた際に大変なので、入念な準備を!
林道では転倒の可能性も高いわけだが、それ以前にツーリングに行く際はオンオフ問わずプロテクターを装着したい。基本は肩、肘、背中、胸、ヒザ、スネを防護し、林道を走るならオフロード系のブーツで足と足首を守るようにしたい。
林道に入って山の上でもしガス欠になってしまったら、他人に迷惑がかかるし、非常に恥ずかしい。だから燃料はできるだけ林道の手前にあるガソリンスタンドで満タンにしておきたい。とくにG310GSなどタンクのあまり大きくないモデルは必ず!
林道走行は思っている以上に運動量が多い。冬でも汗をかくことは日常茶飯事だ。だから水分は500cc~1ℓほどと、多めに用意しておこう。またトラブルなどで林道から出るのに時間がかかることも考慮すると、非常食や軽食、お菓子もあった方が安心だ。
その日に走る林道については、必ず事前に自宅で位置や距離を調べておこう。またルートや入口などをスマホに入れておき、間違いのないルートを走りたい。林道は一般道に比べると圧倒的に交通量が少なく、闇雲に走って迷ってしまうと遭難する可能性もあるからだ。
上でも述べたが、林道は圧倒的に交通量が少ない。もし単独で入り、携帯電話の電波が入らない位置で転倒して骨折するなど、動けない状態になったら即遭難状態に陥り、場合によっては命を落とす可能性もある。だから林道は二人以上で走るようにしたい。
林道は舗装されている路面よりも凸凹が多いので、運動量も非常に増える。また体がバイクの動きに柔軟についていけないと転倒する可能性もある。林道走行はスポーツ性が高いので、林道に入る前に少し準備運動で体をほぐしておきたい。
準備が整ったら、いよいよ林道へ入ろう。
ここでは実際に遭遇する基本的な事例をいくつかピックアップしてみた。
自分が林道を走る際に照らし合わせて実践してほしい。
林道も基本的には左側通行厳守だ。林道とはいえ対向車も来るし、ハイカーや自転車がいることもある。だから速度は30km/h程度で、とくに先の見えないコーナーでは、必ず左に寄って減速して進みたい。ただ左側が荒れていたり通れないこともあるので、その時は自分でラインを決めて走ることになる。
初心者のうちは林道を走ると、自分の思っている以上に運動量があると感じるだろう。とくに倒したバイクを起こしたり、スタックから脱出すると冬でも汗がふきだす。すると知らないうちに脱水症状に陥るので、休憩のたびにこまめな水分補給をしておくのが正解だ。水分を取らないと足がつることも!
ここは中央部分がやや荒れた10mほどの登り坂。「登りだからアクセルやや開けて出口を見る。コーナーの手前から曲がる体勢を作り、かつ滑りそうで荒れたラインを避けて行けばいいと思います。先を見て、先に体勢を作って入る。そうすれば対処が遅れませんよ」と吉友先生。
水分の多い滑りやすそうな場所に佐々木さんがバイクを停めた。平坦だったので、クラッチをじわりとつないで無事に再発進できたが「林道ではバイクを停める前に、そこで再発進しやすいかも、考えて停めないといけませんよね」とアドバイス。
佐々木「コーナーが長くて、出口を見てないと、違う方向に行きそうになりました」 吉友「ここは傾斜があって、Uターンのようにコーナーが曲がりこんでいるので、アクセル一定でリーンアウトでしっかりバイクを傾けながら登っていく感じですね。下りのほうがややブレーキングが難しいかも」
佐々木「最初どこを走ったらいいのか分からなくて固まってしまいました」 吉友「こういう水溜りは底が見えないから不安なんですよね。それなら一度バイクから降りて深さを調べればいいんです。枝でつつけば深さや底の柔らかさが確認できますよね。僕は水たまりを避けて、かつ、グリップの良さそうな部分を選んで通過しました」
林道ではUターンに迫られる場面もよくある。吉友「Uターンはやはり目線が大切です。でも自分ができそうと思った場所で安全にやるのが一番です。無理して倒したら疲れるし楽しくないじゃないですか!」 佐々木「1発目はとても怖くて無理でした。何度か挑戦し、スタンディングでリーンアウトして目線を意識したらなんとかできるようになりました」乗ったままのUターンが無理なら、バイクから降りて回してもいいと、吉友先生は追加でアドバイスした。
今回で2回目となった林道レッスン。佐々木さんは何を学んだかな。佐々木「前回習ったポジションや目線を思い出しつつ、今回は体重移動やリーンアウトなどもいろいろと林道でやってみたつもりでした。以前よりも緊張は無くなったけど、スタンディングでの下り坂が苦手なのがわかりました」吉友「いろいろチャレンジしているのはいいですね。バイクはライダーの操作した通りに動きます。もっと体の力を抜いて、スムーズに動けるといいですね。いろんなところを走って疑問に思ったら、上手な人に聞くことも大切です」
具体的に何が怖いのか、少しずつわかるようになってきました。それが分かれば対処方法を教えてもらえるので、何が怖いか自分で走ってみて知ることが大切ですね。