BMWBIKES vol.92 掲載記事
Text / BMWBIKES編集部
Photo / BMW Motorrad
BMWBIKES NEWMODEL
INFORMATION
2013年に発表されたRnineTシリーズ。空冷の1200㏄フラットツインにシンプルで美しい外装を持ち、電子制御は必要最小限。眺めてよし、走ってよし、いじってよしというオートバイ本来の楽しみ方を教えてくれたじつにオートバイらしいモデルだ。その後、バリエーションを増やし、ロケットカウルの付いた「レーサー」、ダートバイク要素を入れた「スクランブラー」、カスタムのベースに最適な「ピュア」、R80G/Sのオマージュ的なデザインをまとった「アーバンG/S」とスタンダードモデルを含め5種類のモデルで展開されてきた。
そんなR nineTシリーズの2021年モデルは、デザインこそ変わらないものの多岐に渡ってアップデートされた模様だ。一番大きな変更点はエンジンで、シリンダーヘッド、シリンダーヘッドカバー、スロットルバルブの部品を全て新設計したこと。最高出力は80kw(109㎰)/7250rpm(従来は110㎰/7750rpm)、最大トルクは116Nm/6000rpm(旧型と同数値)となりユーロ5に対応している。残念ながらレーサーはカタログ落ちとなったようだ。
RnineTシリーズを牽引するスタンダードモデル。スタンダード以外はオプション719のパーツが数多く搭載される。
ベーシックな装備でカスタムに最適なピュア。こちらもオプション719のカスタムが用意されている。
刷新されたのはエンジンだけではない。新しいサスペンションストラットの装備により、快適なハンドリングを実現。さらに、これまでは調整に工具が必要だったリアサスペンションのプリロードは、ハンドホイールによってを手動で行なえるようになった。ブレーキ系では、万一のコーナリング中のブレーキでも車体の乱れが少ない安全機構、DBC(ダイナミック・ブレーキ・コントロール)を搭載したABSプロに進化。ライディングモードは「ロード」と「レイン」の二つから選択でき、コックピット周りでは、クラシカルなデザインの新メーターに白色LEDインジケーターを装備。BMWの電源ソケットと言えばこれまではヘラータイプが常識だったが新R nineTはUSBタイプを装備する。
そしてなにより大きい変更はオプション719を含めたグラフィックの多彩さだ。R nineTとピュア、スクランブラーはそれぞれ4タイプ、アーバンG/Sは3タイプがラインナップされ、そのうち1台はGS40thの記念グラフィック。購入者は選択に時間のかかりそうな、嬉しい展開となった。
フラットダートならわりと普通に走れてしまうスクランブラー。スタンダードのKalamata metallic matt with tapeがかっこいい。
今回の一番のトピックはこのアーバンG/Sの40thアニバーサリーモデル(Edition 40 Years GS)かもしれない。往年の黒黄で再現されたグラフィックは、まったく違和感がなく、アグレッシブな雰囲気でかなりかっこいい。