BMWBIKES vol.91 掲載記事
Text / Daigoro Suzuki
Photo / Atsushi Sekino www.metzeler.com
ビーマーに好評の万能タイヤ。ロードテック01にニューバージョンが登場。
スポーツ性が高められたSEは、これ1択で良いのでは? と思わせてくれるタイヤとなっていた。
メッツラーが2015年にリリースしたロードテック01は、幅広くツーリングシーンに対応したトータルバランスの高いタイヤであった。いかにも排水性の高そうな溝が多く切られたルックスは、その実、ウェット性能が抜群に高く、それでいて見た目にそぐわない? ドライグリップも確保と、BMWのキャラクターにもマッチ。そんなロードテック01にSEの文字が追加されたタイヤがラインナップに加わった。
パッと見た印象は01ルック。しかしよく観察してみれば、サイド部はスリック状になっており、フルバンク付近での絶対性能を高めていることがわかる。なるほど。SEはスポーツエディションの略かなぁ……。と想像しながら装着されたF900Rに跨る。
第一印象は、01に対して、キレがあるな! ということ。ハンドリングが1ランクシャープになり、狙ったラインをトレースしやすく感じられる。サスペンションを少し締め込んだようなコシの強さを感じさせつつ、そのなかで絶妙な減衰力を発揮してくれているような印象は、ドイツ製自動車に感じられるようなフィーリングだ。硬い=跳ねるといった安っぽい反応とはならず、荒れた路面でも気持ち良い転がり感をもっている。
グリップ力は粘りつくかのような類ではないものの、僕がよく表現する「グラブ感」がとても強い、メッツラーらしさを感じさせるもの。路面状況がまさに手に取るようにわかることで、マシンの信頼性がより高められている印象だ。
フルバンクに持ち込んだ際のグリップ力は、公道レベルではまったく不安を感じさせることもなく、普通にサーキット走行を楽しめるのでは? といった安心感。しかもその領域を使うと、スイッとフロントからよく旋回していく。トータルバランスの高さは01譲り。そこにスポーティな要素を高めたSEは、まさにビーマー御用達といえるタイヤとなっていた。
Daigoro Suzuki
BMWモトラッド公認インストラクター。メッツラータイヤは25年前からレースでも愛用。自身のスクールでも01を使用中。
フロント=シングル リア=デュアルのコンパウンド構造は変わらないが、カーカス構造とコンパウンド自体を改良。フロントとリヤサイドはフルシリカで低温時に対応。グルーブと相乗効果で路面を掴む。
01の強みであったウェット性能は、SEでも変わらぬ安心感。ドライ路面からウェット路面への変化は気構えるものであるが、あまりにも違和感が無さ過ぎて、逆に注意が必要となるほどだった。
BMWの性能をより引き出す安心感とスポーツ性の両立と走りの剛性感。安定感を持ちながら、ゴツゴツした印象にならないのがドイツ製らしさか。手応えのリニアさやハンドリングのシャープさに加え、高いグリップ性能と安心感は、ツーリングユースだけに使うのがもったいないほど。路面と対話できるキャラクターだ。
120/70 ZR 17 M/C(58W)TL
160/60 ZR 17 M/C(69W)TL
180/55 ZR 17 M/C(73W)TL
190/50 ZR 17 M/C(73W)TL
190/55 ZR 17 M/C(75W)TL
※すべてオープン価格