HOWTO

ハウツー

林道レッスン #1

BMWBIKES vol.89 掲載記事

STEP01

林道を走る心構え

まずなんの前知識もなく、林道に行こうと思ってもそれは少し危ない。大切なのは林道は連絡がつきにくいということ。
国道や県道に比べれば圧倒的に交通量が少なく、携帯電話の電波が圏外であることも多い。
だから何かトラブルがあると、遭難する可能性だってあるのだ。

01

常に笑顔で楽しく

林道走行において何が一番大切か? 「それはね、笑顔でいることなんです。笑顔だと体の緊張がほぐれ、余計な力が入らないでしょ。逆に体が緊張してこわばっていると笑顔が作れないんです。林道走行は楽しむためのもの。常に笑顔で、余裕を持ち、楽しむことが大切なんです」と吉友先生は言う。

02

単独行動は極力さける

林道はそのほとんどが山中にある。とにかく交通量が少なく、携帯電話の電波が圏外なのは日常茶飯事。そんなときにもし単独で走行し、転倒や崖落ちで動けなくなってしまったらもはや遭難必至だ。だから林道に行く場合は単独ではなく、必ず同行者と行くように心がけよう。2人より3人、4人のほうがより安心。人数が多ければガス欠やマシントラブルにも対処しやすい。

03

バイクを倒しても
焦らない

舗装されていない林道では、転倒や立ちゴケの機会も多い。もしバイクを倒してしまった場合、大切なのは焦らないこと。仲間への迷惑心や、恥ずかしい気持ちですぐにバイクを起こそうとするものだが、そうすると腰や筋を痛めることも。焦らずに、仲間に手伝ってもらってバイクを起こすのが正解だ。

04

停める場所に注意

林道は路面状況や斜度も様々。だから停車の際は、よく注意して停めないと、乗降中にバイクを倒したり勝手にバイクが倒れるなんてこともある。基本はギアを1速に入れ、しっかりバイクを傾けて停めよう。サイドスタンドが泥や土で埋まらないことも確認。また再発進しやすい場所かどうかも念頭に。

STEP02

ポジションを確認しよう

さて、林道に入る前の心構えを習得したら、次は林道走行の基本であるポジショニングだ。
凹凸の多い林道では、バイクが上下に跳ねるので、ライダーがその衝撃をうまく吸収してあげなくてはならない。
そしてバイクをしっかりと操作して支配下に置くには、レバーやペダル類の調整も必須になってくる、というわけだ。

05

シッティング
ポジション

林道走行の基本はスタンディングだが「最初は不安定な路面で立ち上がるのが怖いです」と佐々木さん。そんなときはシッティングのままでもいいが、ここで大切なのは、下半身でバイクをホールドして腰を少し浮かせ気味にすること。そうすると凸凹路面から受けた衝撃を体で吸収できるので、目線が上下せず、安定した走行が可能となる。また「滑りやすい路面では、ハンドルにしがみつかず、リアに荷重しましょう。常に後輪に荷重をかけて、バイクを前進させる方がバイクは安定するんですよ」と吉友先生。もちろん上半身はリラックスすることも忘れずに。

06

スタンディング
ポジション

林道走行の基本がこのスタンディングポジション。なぜスタンディングするのか? そのメリットはたくさんある。まず路面からの衝撃を体全体で吸収できること。また、ステップに体重がかかるので、シッティングよりも重心が下がりバイクが安定する。さらには目線を高くすることで視野が広くなるので、遠くから近くまで路面が見渡せるようになり、その分情報量が増えるのだ。「膝から下でホールドし、腕でハンドルを押さえず、腰を引いてリア荷重にすることが大切。ステップは土踏まずで踏んで、膝を前に出さず、踵が下がるとリア荷重になりますよ」

07

レバーやペダルの調整

「今までレバーの高さなんか調整したことなかったんですが、調整したら軽く握れるようになりました」と佐々木さん。G310GSの場合は8mmのレンチでレバー調整が可能だった。

舗装されていない林道を走るにはシッティングよりもスタンディングが有効だ。ということは普段シッティングで乗っているポジションとは、レバーやペダルの位置が変わってくるのだ。そこで、スタンディングに合わせてレバーやペダルの位置を調整しよう。目安としてはレバー類は水平よりやや下、ペダル類はシッティング位置よりもやや上げた位置がスタンディングで操作しやすい位置となる。レバーの調整は、工具で少し緩めれば簡単に調整できるので、ぜひやりたいところ。

08

膝から下で
バイクを支える

吉友先生曰く「スタンディングの時は、腕でハンドルに負荷をかけず、膝から下でバイクをしっかりホールドしてください。スキーのモーグル競技を思い出してみて。選手の下半身は激しく上下するけど、頭はあまり動きませんよね。あのイメージで路面の衝撃を吸収していくと、楽に走れますよ。踵を下げて、膝をステップの真上にもってくると自然にリア荷重になりますよ」

STEP03

視線の大切さ

ライディングにおいて「視線」はとても大切。これはオフロードに限ったことではなく、オンロードでも同じことだ。
しかしあらゆる路面状況が次から次へと現れる林道では、改めて意識が必要なほど視線・目線が大切だ。
バイクはライダーが見た方に行く。これは昔から言われること。視線のポイントを見て行こう。

09

スタンディングの視線

こちらはスタンディングでの視野。シッティングと大きく違うのは、バイクのフロントタイヤの前も見えているということ。つまり遠くも近くも見えている状態。だから林道ではスタンディングほうが圧倒的に情報を多く得られるのだ。

シッティングの視線

ここではシッティングとスタンディングの視野の差をご紹介したい。この写真はシッティング時のもの。手前にスクリーンやメーター、ハンドルの一部が見えるのでフロントタイヤの直前が見えない。遠くはしっかり見えている。

10

バイクは見た方向へ行く

「バイクって、本当にライダーが見た方向に行きますよね。でもね、林道には深いワダチや大きな岩、崖など、危険な場所がたくさんあります。で、初心者ほど危険な所を見てしまい、バイクがそちらに進んでしまうんですよね。だから、危ないポイントを確認しつつも、自分は行きたい方向を見るというちょっと難しい視線の配り方が必要になってくるんです。危ない所はチラっと見て、頭にその位置を記憶しておいて、行きたい方向を見る練習をしましょうね」と吉友先生。

11

見るときは肩も一緒に

行きたい方向に目線を送っていくのは当然だが、林道では狭いタイトターンやUターンをする場面も多い。そういった狭小ターンの場合は、目線で首を振るだけでは充分にバイクの向きを変えることができないこともある。吉友「そんなときは首と一緒に、肩も行きたい方向に回すんです。そうすると体全体が行きたい方向に向いて、それに釣られてバイクが自然と旋回してくれるんですね」。佐々木「行きたい方向を目で追うだけじゃなくて肩を入れることも大切なんですね」

STEP04

ライディング中にリラックスする方法

最初の項で林道では笑顔を作ってリラックスすることが大切と書いているが、なぜリラックスが大切なのかと言えば、
ハンドルに余計な力を入れないためだ。初心者は路面からの衝撃があると、怖くなってハンドルにしがみついてしまうが、
そうすると人もバイクも凹凸のショックをもろに受け、余計に暴れることになるからだ。

12

片手で
運転してみる

吉友「ライダーがハンドルに余計な力を入れないようにするにはどうすればいいか? 解消方法は簡単です。クラッチ側の左手を離して運転すればいいんですよ。片手だけじゃなかなか力は入りませんからね。なにも大きく手を離す必要はありませんよ。グリップからちょっと手を離すだけでいいんです。それが不安なら、グリップを人差し指と親指だけで持ってもいい。林道で上半身が力んでいるなと感じたら、これを意識してみてください。すると、必然的に下半身でバイクを保持して、上半身から力が抜けていくがわかりますよ。そして笑顔も忘れずに」

STEP05

コーナーはリーンアウトで

バイクを傾けるにはリーン・イン、リーン・ウィズ、リーン・アウトと主に3種類あるが、路面が滑りやすい林道などでは、
主にリーン・アウトを使う。リーン・アウトはバイクがライダーよりもイン側に寝る姿勢だ。
この姿勢だとより小回りができ、またリアタイヤが滑ってもライダーが制御しやすいという特性がある。

13

セルフステアを使うと
すごく小回りできる

吉友「日本の林道は道幅も狭く、先の見えない小さなコーナーの連続ですよね。だからバイクをできるだけ小回りさせてあげると楽に走れます。そこでマスターしたいのがセルフステアで曲がる方法。セルフステアとは、バイクを傾けると勝手にハンドルが切れてその方向に進むという原理です。写真のようにバイクのキャリアをつかんで左に傾けると、フロントタイヤはカタンっと左に切れますよね。つまりライダーがこれを利用するんです。曲がりたい方のステップを踏んで、バイクを傾け、バイクの旋回を邪魔しないようにライダーは行きたい方角を見る。最初は難しいですが、練習すれば小回りできるようになってきますよ」

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リーン・アウトのメリットはたくさん

吉友「リーン・アウトすると小回りができるのが一番のメリットですが、例えば後輪なら滑っても対処しやすいのも一つの恩恵ですね。あとスタンディングのリーン・アウトが一番早くコーナーの奥が見えるというのも利点です。林道のコーナリングは、このリーン・アウトとセルフステアと、今まで学んだことの複合技なんですね。まず曲がりたい方のステップを踏んでバイクだけ寝かせ、ライダーは反対方向に体重移動。目線は行きたい方角へ。上半身はリラックスして、下半身でバイクをホールド。そして忘れてはいけないのが笑顔。それらを練習して同時にできるようになると、すいすいと林道が走れるようになりますよ」

今回のまとめ

今回は林道を走るうえでの初歩である心構えから始まり、ポジション、視線の大切さ、リーン・アウトで小回りすることなどを学習。「最初はスタンディングすることもできませんでしたし、リーン・アウトで曲がるのも苦手でした。でもその理論を聞いて、実践してみると効果が実感できました。また目線と肩の入れ方で、最後は苦手だった右の小回りができたので、林道初心者として、少し大きくなれたかな」と佐々木さん。次回もがんばってくださいな。

苦手だった右の小回りができた!!

広場で小回りを練習中の佐々木さん。最初はかなり大回りしていたが、先生からの目線のアドバイスで左回りはすぐに習得。右回りはなかなかうまくいかなかったが、それでも最後にはしっかりやり遂げた。