一人でも二人でも、荷物をたっぷり積んでも快適
R1300GSの登場から2年を経て、ようやくR1300シリーズの拡充が本格化した。圧倒的に優れた空力特性でタンデムにも最適な性能を持つ『R1300RT』は、いったいどのように進化したのか!?
Text :Takeshi Yamashita| Photo:BMW Motorrad
BMWBIKES vol.110 掲載記事
数々の独自装備によってGSとの違いをより明確に
R1300RTが搭載するエンジンは、R1300GSのボクサーツインと同じボアストローク、最高出力と最大トルクも同一値だ。メインフレームはRT用に再設計されたスチール製板金シェル構造で、リアフレームはアルミチューブを格子状に組み合わせる。同時に、ライダーの乗車位置を前方に配したことでマスの集中化を図り、ハンドリング、ブレーキ時の安定性を向上させた。またシート高は780㎜に抑えている。フロントサスペンションは、EVOテレレバーに加え、EVOパラレバー リアホイールガイドを再設計。ホイールは従来型より1・4㎏以上も軽量化し、これらも走行性能の向上に貢献している。DCA(ダイナミック シャシー アダブプション)はRTで初採用された、BMWの最新電子制御デバイスだ。前後サスペンションのダンピング調整などでキャスター角を変更し、安定性重視とスポーツ性重視の2種から選択できる。サイドトリムは可変式で、走行環境に合わせて調節することでライダーの周囲の温度を適切に保てることも新RTのユニークな機構だ。
R1300RTで初採用となった『アダプティブウィンドプロテクション』は、サイドパネルを上下に動かすことでライダーに当たる走行風を変化させ、ライダー周囲の温度を快適に保つ機構だ。通常時はパネルが下(上図の左)にあり、ライダーに走行風が当たる。パネルを上へ動かすと(上図の右)走行風が軽減される。季節や天候、走行速度に合わせてパネル位置を調節することで快適に走れる。
GSとは異なる機能性で長距離走行を安全快適に
R1300RTのエクステリアは、低いアングルの斜線、水平と垂直のラインで構成されるダイナミックなデザインだ。フロントフェイスは低い位置に構えたヘッドライトと、その直上まで迫る巨大なスクリーンが目を引く。ヘッドライトはアダプティブ機能に加えて車両の前後ピッチや積載状態に応じた最適な照射範囲を自動調整する。さらにオプションの『アダプティブライトモード』は、ロービームの方向と明るさも自動調整し、夜間走行の安全性を大きく向上させている。走行モードは『ロード』、『レイン』、『エコ』の3種が標準装備で、オプションで『ダイナミック』と『ダイナミック プロ』を追加可能だ。DSA(自動車高調整)もオプション選択可能で(前述したDCAはこの拡張機能)、DCC(ダイナミック クルーズコントロール)、ASA(オートシフトアシスタント)、ACC(アクティブ クルーズコントロール)は標準装備。10・25インチの大型液晶モニターとオーディオシステムは標準装備で、オプションの『オーディオプロ』はさらなる高音質のスピーカーなどを搭載する。容量可変式パニアケースのオプションもある。日本仕様や車両価格、導入時期は未定だが、GSとは異なる魅力の新世代ボクサーに期待大だ。
エンジン型式 | 空油冷水平対向2気筒 |
排気量 | 1300cc |
最高出力 | 146ps/7750rpm |
最大トルク | 15.2kg-m/6500rpm |
ホイール径 | F:17/R:17 |
全長/全幅(mm) | 2229/971 |
ホイールベース | 1500mm |
サスペンションストローク | F:149 mm/R:158 mm |
シート高 | 820/840mm |
車重(※) | 281kg |