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BMW R12S – part.1

BMW Motorradはここへきてまたまた衝撃的なモデルを発表した。鮮やかなオレンジにアルミ無垢地が輝くR12Sだ。そう、このモデルは往年の名車とも呼ばれる「R90S」をモチーフとした車両なのだ。その艶めかしいまでに美しいフィニッシュをとくとご覧あれ。

Text:BMWBIKES | Photo:Satoshi Mayumi

BMWBIKES vol.109 掲載記事

オマージュと進化、伝統をまとう工芸品

R90S発売当時、BMW Motorradの責任者だったエバーハルト・サーファート氏。3気筒のKや、今のGSの始祖となる「R80G/S」の開発を踏み切った時代の立役者である。

R90Sのビキニカウルは
ハンス・ムートが担当した

昨年、市場に投入されたR12nineTは、RnineTの後継機種として開発された空油冷フラットツインを搭載したネイキッドモデルだ。前モデルからフレームの構造やサスペンションの位置を大きく変更し、よりスポーティな走りが楽しめるいっぽうで、スタンダードなデザインに高級感のある仕上げ、さらには自分好みにカスタムする喜びも味わえるのが魅力の1台だ。

そんなR12nineTをベースに、ビキニカウルとシングルシートカウルを装着し、特別なラヴァ・オレンジ・メタリックの塗装の中に、アルミのヘアラインフィニッシュのグラフィックを施した限定モデルがこのR12Sだ。このスタイリングを見て、往年の名車とも言われる「R90S」のオマージュと気づくライダーはかなりのBMW通だろう。

R90Sは1973年に/5シリーズの後継である/6シリーズのフラッグシップとして誕生。それまで排気量は750ccが最適だとされていたボクサー史上で初の900ccが与えられたモデルだ。当時では特別だったデロルトのキャブを装備し、エンジンは67馬力を7000回転で発揮。そのパワーを受け止めるため、ドラムブレーキが主流だった時代にフロントダブルディスクブレーキを採用するなど、最先端の車体構成を誇った。

もっとも特徴的なのが、小ぶりながら車体と一体化するようなビキニカウルだ。この当時のBMWのチーフデザイナーは、あのスズキの「GSX1100Sカタナ」をデザインしたことで有名なハンス・A・ムート氏で、このビキニカウルはムート氏によるもの。同時にデイトナオレンジとシルバーのグラデーションの中に赤いピンストライプ(当時は手書きだ)が入った斬新なグラフィックも人気の一因となった。当時としては最先端の車体を持ったR90Sは、マン島TTやデイトナ200マイルといったレースシーンでも活躍し、もちろん一般道でもパワフルなエンジンと高剛性フレームにより最高速度は200km⁄hをマーク。「アウトバーン最速モデル」の異名を欲しいままにした。つまり、このR12Sには、そういったR90Sへのオマージュがぎっちりと詰まっているのだ。しかもR12Sは、日本でなんとたったの200台の限定販売という。非常にプレミア感の高いモデルなので完売は必至だろう。この号が発売されている頃、まだ各ディーラーの店頭に在庫があることを願うばかりだ。

AMAスーパーバイク選手権。1976年ラグナセカサーキットで、R90Sに乗ったレグ・プリドモアが初の優勝を果たした。
同じくAMAスーパーバイク選手権。この頃は1000ccの102馬力で出場。ゼッケン163がレグ・プリドモア。ゼッケン83がスティーブマラフリン。
マン島や耐久レースではビキニカウルではなく、フルカウルが採用されることもあった。このレプリカも再現してほしいところだ。
R12SはR90Sを現代風にアレンジしてデザインされている。よりエッジが効いてシャープな印象だ。

BMW R12S – part.1
ーpart.2へー

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