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2024 JSC 伊勢志摩サイドカーフェスティバル②

JSC SIDECAR FESTIVAL in ISESHIMA

Text:Nobuki Sakurai    Photo:Satoshi Mayumi

BMWBIKES vol.106 掲載記事

会場にはお昼を境に次々とサイドカーが集まってくる。ゴールドウイング、カワサキ、ハーレーなどさまざまなメーカーのサイドカーが訪れるが、そのうち6割ほどはBMWだ。

 その中の数人の方に話を聞き印象的だったのは、バイク側の話よりも「サイドカー側」へのこだわりだ。皆さん、このサイドカーのボディのことを「船」と呼ぶのだが、船はバイク本体よりも圧倒的に数が少ない。そのほとんどが、どこそこのメーカーが何個作ったうちの何番目と、多くて数十台、少ないと数台といった物ばかり。もちろん今では作っていないモデルも多く、修理や塗装が難しい物もあるようだ。バイク側はBMWなら、相当古くてもなんとかなる場合が多いが、船は、そのほとんどが手作りなので非常に貴重なのだ。だからこそサイドカーは、その1台1台が貴重な存在で、そのぶんオーナーの愛情も半端なものではないのだ。









代を重ね、時を紡ぎ、次の世代へ。個体数の少ないサイドカーを持つオーナー同士だからこその、つながりと、魅力と、生き方。

もう一つ印象的だったのはサイドカーは「受け継がれていく」ということ。サイドカーはオーナー同士の横のつながりが非常に深いので、このJSC(日本サイドカー連盟)を基軸に、例えばそのオーナーさんが高齢でサイドカーを降りたり、亡くなられた場合に、オーナー同士の連絡網や、サイドカーを扱うショップづてにその情報が流れる。結果として、その車体を受け継ぐ人がすぐに見つかり、中にはサイドカーばかり2台、3台と所有する方も多いみたいだ。

 そうして、貴重なサイドカーの車体と、情報と、魂は時を紡ぎ、代を重ね、独自の文化として醸成されていくのである。

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