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「憧れのガレージライフ」-The dream garage life.-②

触る、見る、過ごす、愛車と人生を刻む。

Text:Takeshi Yamashita/BMWBIKES
Photo:Koichi Otani/Satoshi Mayumi/Takeshi Yamashita

BMWBIKES vol.105 掲載記事

皆さんのガレージライフ

Scene.3
ー倉庫だった物件をコツコツと改良して広々としたガレージにー
東京都)瀬戸秀利さん

実は瀬戸さんのR1300GSはまだ納車前で、これは撮影用に拝借してきたM.S.C. HARAの試乗車だ。左端のモンテッサは、16年GSトロフィー代表の中村靖彦さんから譲り受けたものだ。
レストラン厨房用の中古テーブルを購入し、キャスターを装着したステンレス製の作業台。工作を効率化するためボール盤などの導入も検討中とのこと。壁面には各種工具、棚にはかつての愛車のパーツが並ぶ。
スパナなどは父から受け継いだものもあり、
どれもが瀬戸さんにとって欠かせない大切な工具だ。
バイク以外の趣味の道具も多く保管されており、パソコンを置いたデスク、友人と語らえるテーブルセットも含め、
書斎・リビング・アトリエをすべて兼ね備えたガレージに
なっている。
ファットボーイ、GS、ゴールドウイングを簡単に移動できるキャスター付きスタンドは、瀬戸さんの自作アイテムだ。

ガレージに満ちあふれる
父の思い出と友人との絆

倉庫として使われていた建物を、瀬戸さんがコツコツとガレージに改装して仕上げた空間には、R1300GSとレストア中のハーレー・ファットボーイ、モンテッサ、セロー250、ゴールドウイングがゆったりと並ぶ。壁面の棚には豊富なツール類、ケミカル、オイルなどが整然と保管されている。

「ぶきっちょなんですけど、直したり作ったりが好きなんです」

瀬戸さんのそうした趣味性は、CB750フォアK2に乗り、バイクいじりが好きだった父譲りなのだという。壁にかけられたスパナなどの多くは父から受け継いだ大切な工具だ。

「床は難度が高いので業者に依頼しましたが、壁板や棚などはホームセンターで買ってきて、裁断して取り付けました。作業台はレストランの厨房用のステンレステーブルの中古品を買ってきてキャスターを追加したものです。水道が外にしかないので、ガレージ内に引いたり、ボール盤なども欲しいと思ってるんですけど、なかなか手を出せないでいます」

改装にかかった期間はおよそ半年。人感センサーや防犯カメラなども備え付けてある。

「ガレージで過ごす時間が長くて妻に叱られることもあります(笑)。バイクいじりだけじゃなく、友人を呼んでバーベキューをしたり、2階を仕事場にしているので仕事終わりに休憩したり、休みの日をここで過ごすことも多いですね」

写真では見えないが、バイクを置いている場所はガレージ面積の半分ほどで、そこにはテーブルセットがあり、友人たちと語らうにも充分の広い空間だ。ガレージというよりも、バイクを置けるアトリエという趣きが漂っている。

Scene.4
ーリビングとガレージをひとつにすることで愛車といっしょに過ごすー
(埼玉県)福野てるすけさん

夫婦共に過ごせる、広いリビングダイニングの一角が福野さんのガレージ。重整備はできないものの、エアコン管理下でバイクを保管できるメリットも大きい。
ガレージ部分の床は木材からタイルへ替えることで、油脂類がこぼれたときの対応のしやすさだけでなく、リビングとガレージの境界線となっている。
リビングに隣接したウッドデッキにラダーを置くことで段差をなくしてバイクを出入庫している。室内で行なえない重整備は屋外で行なっている。車庫には現在、電装系を修理中のミニの姿が見える。

パーツや工具など、バイク趣味に必要なアイテムは、1階と2階のクロークに分散して保管している。
1階には溶接用のガスボンベやエアコンプレッサーなど大きく重いものを、2階にはパーツ類やキャンプ道具、
その他の趣味のものなど軽めのものを置いている。

暮らしの中に溶け込む
リビングガレージの在り方

バイク趣味に没頭しすぎたことが原因で離婚を経験した福野さんは、自宅を建てる際に『趣味と夫婦仲を両立できる空間』を作ることを第一に考えた。その答えが、住宅とガレージを分離するのではなく、リビングダイニングとガレージをひとつにする方法だった。

「再婚した後に建てたこの家は、バイクやクルマが好きな建築家ではなく、あえてどちらにも興味がない建築家に設計を依頼しました。なぜならガレージを得意とする建築家だと、どうしてもガレージ中心になってしまうからです」

玄関を入ると広々としたリビングがあり、左手にダイニングキッチンとパソコンが置かれたデスクがある。そして奥にHP2エンデューロとスポーツスターが鎮座している。ガレージというよりはショールームのようでもあり、暮らしとバイクが一体化した理想の空間が広がっている。

福野さんの発想は、しっかりと功を奏した。基本的にこのスペースはバイクを保管するだけで、点検整備も軽めの作業のみだが、それでも夫婦揃って同じ空間にいられる。奥さんはバイクに興味はないそうだが、リビングのバイクを大きなオブジェのように感じているだけで、一緒に過ごせる時間と空間を気に入っているそうだ。

なお、パーツ、アクセサリー、工具類、キャンプ道具などは1階と2階のクロークで保管している。

「溶接や板金などの作業は屋外です。最近、塗装もやるようになったのですが、砂やホコリ対策としてやはりブースが欲しいですね」

視点を変えれば、ガレージの在り方や作り方をより自由にできる福野さんのガレージは、大きな可能性を秘めた空間だ。

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