Text / Eri Ito
Photo / Jun Goto、ピレリジャパン、Eri Ito
Special thanks / ピレリジャパン
BMW Motorrad世田谷店
レース経験豊富なライダー2人と
昨年からレース参戦をスタートさせた
ライダー2人という4人で挑んだ
2021年のもて耐。
各々もて耐に向けて準備を進め
2年目のチャレンジに意欲を燃やした。
4人のライダーで7時間を走る決勝レースを
果たして完走できたのか?
最後に私たちが浮かべた表情とは……。
今年のもて耐参戦には2020年の布石があった。昨年、監督である坪井千春さんの「女性ライダーだけのチームでもて耐に挑みたい」という思いの下、チームは結成された。
しかし新型コロナウイルス感染症の影響により、昨年のもて耐は7時間耐久から3時間耐久に短縮。「来年、また」。そうした思いで今年こそ7時間完走に挑むべく、ほぼ同じメンバーが集まって結成されたのが“BMWBIKES&Frau MS”なのである。
坪井さんと小林ゆきさんというレース経験豊富な二人、それから昨年からレースに挑戦を始めた並河真奈さん、私、伊藤英里といった布陣だ。
もて耐は毎年8月下旬に行なわれる、耐久ロードレースである。「世界最大の草レースを目指す」をテーマとして、1998年に始まり、現在では115cc以上250cc以下、4ストローク2気筒以下のバイクで争われる。
上位をねらうチームはなかなかの本気度だが、一方で、初めてのライダーが参戦しやすいようケアも手厚い。幅広く人気を集める耐久レースなのだ。
2020年、女性ライダーのみのチームでのもて耐参戦を目指し発足。レース参戦経験豊富な小林ゆきさん、坪井千春さんと、昨年からレース参戦を開始した並河真奈さん、伊藤英里で構成される。2021年もて耐の目標は「笑顔で完走!」
金城鉄壁! 不動のエース
小林ゆき
Yuki Kobayashi
バイクジャーナリスト。ミニバイクからビッグバイクまで長年ロードレースに参戦。鈴鹿8耐には監督として参戦経験を持つ。チームでは並河さんや伊藤を導くコーチとしても活躍。●主な所有バイク:カワサキ GPz900R、ホンダ リード100、ヤマハTZR125、カワサキ Ninja H2、スズキ ハスラー50、カワサキ Ninja ZX-25Rなど多数。
速さとマネジメント能力
を持つ比類なきザ・監督
坪井千春
Chiharu Tsuboi
チームの発起人であり頼れる監督。ボクサートロフィーや鈴鹿FUN&RUN! 2Wheels、もてぎロードレース選手権、G310トロフィーなど、ライダーとしても多くのレース参戦歴を持つ。●バイク歴:約19年●所有バイク歴:(すべてBMW)F650ファンデューロ、R1100Rロードスター、R1100S、F800S、RnineT、C650スポーツ、S1000RRなど。
卓抜の進化を遂げる
スピードスター
並河真奈
Mana Nabika
昨年から本格的なレース参戦を開始。もて耐に向け、ライディングスクールで基礎を身につけた。今年に入ってレースのたびに速くなっていき、7月上旬のG310トロフィーでは雨の予選でクラスポールポジションを獲得したチームのホープ。●バイク歴:10年●所有バイク歴:ホンダVTR250、BMW F750GS、BMW G310R、BMW S1000RR。
ぴりりと辛くなりたい
小粒山椒
伊藤英里
Eri Ito
モータースポーツジャーナリスト。これまでサーキット走行経験はあったものの、昨年のもて耐挑戦から本格的にレース参戦を始めた。生来のビビリゆえ、タイムもスキルもゆっくりと上がるスロースターター。●バイク歴:約12年●所有バイク歴:スズキ バンディット250、トライアンフ デイトナ675、ホンダ CB400SS、ヤマハ YZF-R25。
2年目のもて耐挑戦に、チームのメンバーは前に進んでいった。チームのエースであるゆきさんは公開練習で自己ベストを更新。
監督の坪井さんは参戦に向けて奔走し、昨年からレース参戦を始めた並河さんは7月上旬のG310トロフィーでは雨に濡れた路面でクラスポールポジションを獲得。
そんな中で私は一人迷走していた。メンバーとともにもてぎロードレース選手権などに参戦して経験を積むも、タイムは詰まるどころか遅くなる一方。しまいには走り方がわからなくなり、サーキットを走ることが怖くなる、という悪循環に陥っていた。
チームの目標は「笑顔で完走」。遅くても誰もプレッシャーをかけたりはしなかったが、もて耐はコース上で競い合う“レース”であり、なにより現状では走っていても楽しくない。
「もっと練習するしかない」。もて耐まで2カ月を切ったところで、やっとお尻に火が着いた。ライディングスクールに通うなどして練習を重ね、本番ひと月前の公開練習で目標タイムを達成。やっと「もて耐が楽しみ」だと言えるようになったのである。
「“もて耐”への挑戦②」へ続く