IMPRESSION

インプレッション

MICHELIN ANAKEE ADVENTURE

BMWBIKES vol.86 掲載記事

Text / Tsutom Matsui
Photo / Atsushi Sekino
問い合わせ:日本ミシュランタイヤ株式会社 お客様相談室
TEL:0276-25-4411
www.michelin.co.jp/motorbike/tyres/michelin-anakee-adventure

BMWBIKES IMPRESSION

MICHELIN
ANAKEE ADVENTURE

冒険車たちの正しい選択肢

GSセグメントのバイクに向けた2019年の新作が発表された。先代アナキーⅢからどのような性能伸張があったのか、テストコースでしっかりと両者を比較した。

フェイスにも見える
深掘りされた性能

 ミシュランは、2019年シーズンに向け新たにGSセグメント用ラジアルタイヤをリリースした。アナキー・アドベンチャーだ。今までの定番だったアナキーⅢの後継モデルとして開発されたもので、同社はこの新作を最新GSの標準装備として供給するほか、 GSセグメントのリプレイス需要もしっかりと満たそうとしている。

 開発意図は同社の開発スローガンでもある「ミシュラントータルパフォーマンス」のコンセプトにのっとり、高い性能目標値で全体をバランスさせた妥協のない作り。具体的な開発目標として旋回性や運動性、そして高速安定性のほか、GSセグメントが求めるコーナリング性や乗り心地、高速安定性、耐摩耗性などを高次元にまとめている。

 そのためにタイヤ断面であるプロファイル形状を刷新。トレッドゴムには、サイドグリップ部にソフトコンパウンド、直進時に多用するセンター部にハードコンパウンドを配置するミシュランの2コンパウンドテクノロジー(フロントは2CT・リヤは2CT+)を採用。これは、サイドの柔らかいコンパウンドゴムの下に、センター部分のハードコンパウンドを下敷きにすることで、走行開始後の暖まりのはやさと旋回時に荷重がかかったときの剛性感を引き出すなどメリットが多いのが特徴。

 また、トレッドゴムには低温時のグリップ性能やウエット性能を決める鍵でもある新開発されたシリカコンパウンドが採用されている。

 トレッドパターンは、大小サイズの異なるブロックを配置。その深彫り造形は、ダートでの性能も想起される。同時に走行時のパターンノイズ低減を図る目的もある。そのブロックは、加減速時に発生するブロック角のヨレで偏摩耗しないようその部分が丁寧に面取りされているのも特徴だ。コーナリングで、バイクを直立状態から寝かしてゆく時、トレッド剛性を確保する目的でブロック間にブリッジブロックも配されている。これによりウエット路面で太い排水溝も確保でき、オフロードでのグリップもバランスさせている。オン、オフともに妥協のない設計がよくわかるのだ。

 実際にR1200GS-ADVに装着した印象は、交換直後からバイクが軽快になったことに思わずにんまり。ADVが普通のGSになったような印象で、それでいてタイヤの接地面をタテに長く使うようなグリップ感があり、動きが速いのに怖さは微塵もない。まるで上手く乗れているような感触だ。

 乗り心地も距離がこなれるとスニーカーのごとくマイルドに。パターンノイズは皆無ではないが許容範囲。実はもう少しうなりがでるのでは、と思っていたから嬉しい驚きだ。

 市街地でタイヤを交換しただけで味わえたアジリティに気をよくして高速道路へ。直進安定性はどっしり感こそないが軽々合格ラインを突破。これはパニアに荷物を満たしても同様だった。アナキーⅢのどっしり感を是とする場合、落ち着き感の演出の違いで好みが分かれる部分もあるかもしれない。

 しかし、テストコースでウエット性能を体感する頃にはボクはもうこのタイヤのトリコになっていた。アナキーⅢとの比較では、接地インフォメーションの豊富さとウエットブレーキ、ウエットスラロームなど、安心感が大きく違っている。まるでドライ路面を走るように普通な精神状態でいられる。

 高速周回路での車線変更テスト時の所作も、どっしり感の先代、しっかり感の中に軽快さがある新作と評価できる。オフロードでの性能も大満足。スポーティに楽しめる総合性能の高さに納得のミシュランなのである。

R1200GSにアナキー・アドベンチャーを装着。トレッドパターンが持つ悪路走破性を予感させる部分とタイヤの断面形状が匂わすロード性能の高さの双方を表現。

MICHELIN
ANAKEE ADVENTURE

トレッドパターンはアナキーⅢと比較してブロックパタンが明確なスタイルに。タフでごついフェイスに路面を問わない万能性が見えてくる。事実その通りの性能。

R1250GSなどにBMWが純正採用
このセグメントの指標となるのか?

GKドライブラインのテストコースで取材を行なう。高速周回路、ウエット試験路、ダートコース、ハンドリング路など多くの場面がそこに集約。現在までおよそ400kmを走行し、タイヤの摩耗度はさほど進んでいない。摩耗度もアナキーⅢ同等の性能か。

路面が硬くそこに林道のように砂利が敷かれた試験路。旋回するGSに荷重を載せて路面をタイヤとサスペンションで掴むように走る。タイヤのトレッド面に切られた溝とトレッド面が有機的に動く路面をグリップしてくれるのだ。とても良い印象である。

実は1200GSから1250GSに乗り換えた。装着されていたのがアナキーⅢだったのでパーツともども1200からキャリーオーバーして使用している。3月以降のデリバリーはすでにこのタイヤがOEMのようだ。

性能比較
レーダーチャート図

アナキーⅢを100とした場合のアナキー・アドベンチャーの性能イメージ図。当日多くのジャーナリストと意見を交換したが、ハンドリングや操縦性に関してどのアングルから見るかで評価軸が変わると思われる。個人的にはウエットグリップはそのまま、ハンドリングも操縦性も着実なる伸張を感じた。1250との相性も抜群だ。

もっとオフを楽しみたいなら!

MICHELIN
ANAKEE WILD

ミシュランがGSセグメントにオファーするオフロード向けラジアルタイヤ。そのブロックパタンから想像するとおり、ダートを楽しむGSライダーから高い評価を得ている。泥濘、砂地でのここイッパツのグリップでファンを魅了するタイヤだ。

FRONT

110/80 R19 59V
120/70 R19 60V
90/90-21 54V
100/90-19 57V

REAR

150/70 R17 69V
170/60 R17 72V
150/70 R18 70V
130/80 R17 65H
140/80 R17 69H

※BMWBIKES vol.86 掲載時

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